アイシャドウ問題

 アイシャドウは難しい。


 化粧品コーナーに並んだアイシャドウパレットを眺めるのはすごく好きなのだが、悲しいことに『綺麗だな』『この色いいな』と思ったものが自分に合うかと言えば全くそういうわけではなく、いざ自分のまぶたに塗ってみると『なんか違う』『パレットはあんな綺麗なのに、なぜ!?』となることがほとんどである。


 なんと言ってもわたしは一重の中の一重。まぶたがどうにも腫れぼったい。

 下手に華やかな色や濃い色を使うと、余計に腫れぼったく見え、殴られた後みたいな目の印象になってしまうのだ。


 一重向けのアイシャドウの塗り方について色々と調べてみるのだが、結局のところ『ブラウン系、ベージュ系』のベーシックカラーを使っておけということらしい。うーん、寂しい。

 もちろん、ピンクや華やかな色が絶対にNGということでもないようだが、塗る際には工夫や技術が必要なようだ。

 塗り方のアドバイスに関する記事を読んでみたが、自分に再現できるかと聞かれれば全く自信がない。


『グラデーション』ってなんだ!

『ぼかす』ってどうやるんだよ! ブラシとチップ何個必要なんだよ!

 毎朝こんなことできるのか!?


 いやいや、駄目だ。文句を言ってはいけない。

 練習せずに文句を言うのは怠慢である。

 何事も最初から上手くいくわけがない。

 練習を重ねればいいのだ。


 そんなわけで、研究した塗り方を再現してみようとするのだが・・・アイシャドウの難しいところは、ちょっと油断しただけでとんでもない結果になってしまうところである。


(いや、まあ、わたしの目元構造の問題なのかもしれないけど、それを考えると悲しくなるので、考えないようにする)


 ビビってちょっとしか塗らないと全く印象が変わらないし、かといって調子に乗って塗りすぎると、下手くそな舞台メイクみたいになってしまう。


 しかも、距離や明るさによって印象が変わるというトラップもある。

 家の鏡で見た時はいい感じだったのに、出先や職場の鏡で確認したら『おいおい、どういうことだよ。話が違うだろ』となることが何度もあった。

 同じ鏡でも、鏡のすぐ前で見た時と、数歩離れて見た時とでは、全然違ったりする。(おそらく、離れて鏡を見た時の方が、より『現実』に近い、と思う)

 時間経過によって印象が変わる(悪化する)こともあるから油断できない。


 とにかく、慎重にやらなくてはいけないのだ。

 だが、出かける前の時間は限られている。いつまでもメイクをしているわけにもいかない。

 結局また『あーもう、これでいいだろ!』と自分に言い聞かせ、上手くいったのかいってないのかよく分からない状態で家を出ることになる。

 そして外出先のトイレに入って鏡を見た時、あるいは電車の窓にうつった自分の顔を見た時に、頭を抱える羽目になる。


 アイシャドウは難しい。


 そう痛感しつつも、化粧品コーナーに立ち寄ると、ついつい綺麗なパレットに目をひかれてしまう。

 使いこなせないとわかってはいるが、好みの色合いのやつを買いたくなってしまう。

 いくら安いやつを買っても、結局使わなくなってしまえばただの無駄遣い、純然たる無駄遣いである。

 ああ、もったいない。


 これはまさしく問題だ。

 という、ただの愚痴なのでした。


 わざわざここに書くんじゃなくて友人に話せと思われるかもしれないが、話す友人がいないので、カフェの隅に一人座りながら、ここに記していくことにした。

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