王都で

 冒険者ギルドどをどうしてやろうかと考えながら領主の館に戻る。


 「ヒース、話がある。」


 父に呼び止められた。いったい何の話だろか?


 「お前も10歳になったろ。今年から社交の場にも出なくてはいかん。そこでお前と同い年の10歳であるルーク王子の誕生日パーティーに参加してもらう。」

 「分かりました。」


 王子の誕生日パーティーなら王家の人間に会いに行って冒険者ギルドに関して文句を言うことも可能だろう。なんて文句を言ってやろうか。


 

  一月後俺は王都をメリアと二人で歩いていた。


 王都は大きかった。特に城が。


 これしか感想が浮かばないのも仕方のない事だろう。


 なぜなら、イースル領の領都であるマルクは文化などは王都の先を行ってしまっているからである。

 

 正直な話現在の王都は王城があり、政治の中心であること以外はマルクの下位互換なのだ。


 「ヒース様王都は久しぶりに来ますが広いですね。」

 

 やはりミリアにも広い以外の感想が王都に無いようだ。ミリアは学生時代の頃とかのトラウマが王都にありそうだがそれも克服できていたみたいでよかった。


 「やめてください!」


 唐突に女性の声が聞こえたのでそちらの方を見ると女性が3人の男性に襲われているのが見える。

 

 ここは王都のど真ん中だいったい何をやっているんだろう。


 しかし周りを見るとなぜか誰も助けに行こうとしない。仕方ない


 「ミリア行くぞ!」


 こんな暴漢相手に剣を使うまでもない、まずは警告の意味も込めて顔面に気絶しない程度に一発いれる。


 「痛ぇなぁ。うん?お前ら逃げるぞ。」

 

 そういうと暴漢たちは逃亡を開始した。


 正直に言って拍子抜けだ。今のは奇襲だったこともあって「油断してなけれ避けられた」とか言って突っ込んでくるかと思っていたがそうはならなかった。


 まぁ今は暴漢たちの違和感は後だ。今はこっちの少女の心配をすべきだろう。


 「大丈夫ですか?」

 「おいてめぇ!そいつを助けるのは主人公である俺の役目だろ!何勝手にモブが出しゃばってるんだよ。」


 少女に声をかけていると急に金髪のイケメンが文句を言ってきた。


 「なに言ってるんだ?誰が助けようとも関係ないだろ?」

 「関係ない事はないだろうその女の子もお前みたいなモブに助けられるより俺みたいなイケメンに助けられた方がうれしいだろ?」

 「お前は何を言ってるんだ?一刻も早く助けなきゃいけない状況だったろうが。」

 「まぁいい。そうやってモブの分際で調子に乗ってるといつか痛い目見るぞ。」

 「別に痛い目にあってもこっちの可愛い少女が助かるなら問題はないんだよ。」

 「そういってられるのも今のうちだけだろうがな。」


 そう捨て台詞をはいて金髪イケメン男は立ち去っていく。


 「さすがヒース様です。ルーク王子相手でも立ち向かっていくなんて。」


 ちょっと待って。


 あれ王子なの?

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