転生者のみに許された高速言語習得

 さて自力で魔法を習得するのが困難だということが分かった。しかしこんな時にも対応しているのが先輩転生者達の知恵よくあるテンプレである。自力で無理なら本を読めばいいのである。


 本を読むにはいくつかの難関が存在する。一つ目の難関はそもそも魔法に関する本があるかということ。二つ目は仮にあったとして手に入れることが出来るのかということ。しかしこの二つに関してはなんとなるであろう。文字を使って記録を残していない文明でここまで発展するということは考えずらく、あのふかふかが買えるのだ、転生先の家は裕福なのであろう。


 さて最後にして最大の問題がある。自分が文字を読めないということだ。なぜかこの世界の標準語は日本語ではない。いや日本語である方がおかしいのはわかっている。しかし、ここまでご都合主義展開が続いたのだ、ご都合主義続行でもいいだろうと思ってしまうのは俺が怠惰なわけではないだろう。


 さて、いざ言語習得となるがここは言語学者の伝記を読んだ時に得た知識を使うときだろう。正直知ったときはこれいつ使うんだと思っていたが使う時が来たようである。


 その方法は


意味の分からない絵を描く→相手がなにか返してくる→いろいろなものを指しながら相手が言った言葉を繰り返す


 というものである。意味の分からない絵を描けば相手は「これはなに?」と聞いてくるであろう。これで「これはなに?」と聞く方法が分かったので、聞きまくって一気に単語を覚えるのである。文法は?って。こちとら前世の反政府運動のために10か国語ぐらい覚えてんだぞ。似たような文法ぐらいあるだろうから単語さえわかれば余裕だろう。


 さて、早速実践としよう、しかしこの赤ちゃんの体で絵を描くのは無理だし、そもそも筆記用具がない。代わりになりそうなのというより手の届く範囲にあるのはこのベッドぐらいか。ベッドの上で動き回れば抽象的な何かを作れるか?とりあえず実行あるのみである。


 ベッドの上で動き回って数分、突然の尿意、赤ちゃんの俺に我慢できるわけもなく...


 というか漏らしてから気が付いたが、もしかしてこの気持ち悪い状態、泣いて母を呼ぶまで解消されない?しかし泣いて母を呼ぶのは男のプライドが...


 数分後、あきらめました。だって無理だもん。男のプライドは消え去りました。


 「あ~ん あ~ん」


 泣き声に対応して遠くから誰かが近いくに来る音が聞こえる。


 「’$(%)’%%」

 

 扉を開けて部屋に入ってきた母が何か言っているが、相変わらず何を言っているかわからないが、そのままおむつを変えてくれる。その時、無精ひげで筋骨隆々な男が入ってきた。そういえば、まだ父親にあっていない気がする。あれが父親なのだろうか、てか手に持ってるの表紙的にR18的な奴だよな...


 「$’#$(#)・。、m!」


 案の定問い詰められてるし...


 というか今問い詰めてるのってきっと「あなたそれはなに?」みたいな感じなのでは?う~ん父親が怒られてるし、酷い人間だったけど「これはなに?」のきき方が分かったから良しとしよう。

 


 

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