第8話 小悪魔
楽屋を確認してノックした。
「来てくれて、ありがとう。」
パーシヴァル様の微笑みが尊すぎて。尊みの極み。
顔に血が上る。
きっと真っ赤になってるけど、気にしないわ。
「パーシヴァル様、ご招待ありがとうございます。これ、良かったら召し上がってください。」
うちのコックが作ったから、間違いなく美味しいよ。衛生面もバッチリさ。えっへん!
「ありがとう!美味しそうだな。早速いただくよ。」
一つつまんでパクっと口に入れた。
具沢山の大きなクラブサンドが二口目には消えていた。
なんか、すごい。
「パーシヴァル、差し入れ?旨そうだな。」
おっ、ジャンではありませんか?
パーシヴァル様の肩に顎を乗せてバスケットを、覗いてる。おいジャン、そんなんだからパーシヴァル様ラブ疑惑が出るんだ。少しは慎むが良いぞ。
まあ、眼福なので今は許して遣わすが。
「ジャン、目敏いな。レディ・エスメラルダ、ジャンもいいかな?」
パーシヴァル様の低い艶のある声で名前呼ばれた。
いいー。良い声ですぞ。
「私も早起きしてお手伝いしましたの。ジャン様どうぞ召し上がってくださいまし。ね、お姉様。」
思わぬ伏兵が。ミランダよ。もしやお主ジャン推しか?
それに手伝っただと?
それは私が気合いをいれて見守る中うちのコックが、緊張しながら一生懸命作った逸品だぞ。
卑しくも推しの口に入る物に素人の生ぬるいお手伝いが入って良い訳がないではないか?
すかさず否定しようとすると。
「朝から頑張ってくれたんだね。ありがとう!」
パーシヴァル様が私の頭をポンポンしてくれた。
なんという僥倖。ミランダ、ナイスアシスト!
所詮喪女たる私には知り得なかったテクニック。
ミランダよ。もしやそなた、小悪魔ですか?
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