同級生、同僚、そして友人

Vtuber。もはやいないことを目にする機会がないほど一般になった存在。知らない人から見たら「おたがい顔も見ない相手と本音で付きあるのか」と言われるだろう。
だけどじっさいはお互いの顔が見えないからこそ、本音が出やすいのではないかと思う。個人的には。
その上で良好な関係を築くと言うのはリアルでの人間づきあいよりも深いものがあるのではないかとすら思ってしまう。
さて、本作は人気Vtuberの主人公とVtuberにあこがれて行動を起こすヒロインの物語である。主人公ははじめ己のVtuberとしての存在を消して彼女の相談事に真摯に向き合い、適切なアドバイスを送っていく。そして彼女は花開き主人公の活動を知ることになる。
あこがれのVtuberとしての活動を目指して行動するヒロイン。それを支える(実は大先輩)の主人公。奇跡的な偶然とそしてヒロインが持つもともとの適性が花開いていき人気ものになっていくストーリーです。
ヒロインだけが成長する物語ではありません。主人公も己の個性の無さから一歩引いたようなところからグループメンバーと接していたけれども、とあることから主人公の性格と行動がなければそのグループが成り立たないレベルで楔となって存在していることを仲間から思い知らされます。
この物語はヒロインのVtuberとしての活動記録だけではなく、すでに膨大なリスナーを持っていてもなにか空虚というか劣等感を抱いていた主人公の成長の物語でもあります。
今後二人だけでなく、グループのメンバーからの信頼、メンバーへの信頼など友情を超えた心のつながりを持った者たちの物語に期待せずに入られません。

ただの主人公とヒロインの物語だけではない、友情を超えた繋がりを感じさせる作品となっています。今後もこのような温かい関係を見守らせていただきたいと感じさせる作品です。

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