第22話 シェルの頼み事

 お互いの誤解が解けたのが分かった君は部屋に戻る事にする。

 ブラウズもシェルも親子として自然な姿に戻るだろう。

 君はベッドに横になると、一気に疲れが押し寄せる。


 自然に瞼が重くなり目を閉じた。

 とても長い時間眠ったような倦怠感を覚えて起きる。

 目の前にはシェルが少し眠そうな顔をしていた。


 君はいつから居たのかと尋ねると、シェルはほっとしたように息を吐いた。


「心配しましたよアッシュ。あれから3日間、ずっと寝ていたのです。お父様は脱走した犯罪者を相手にしたからだろうと言っていたのですけど」


 この気怠さが長時間の睡眠によるものだと君は理解した。

 腹も空腹である事を感じている。


「助けていただいたとお父様から聞きました。ありがとうございます、アッシュ」


 シェルが深々とお辞儀をしすると、君の腹から音が鳴る。


「フフッ。ずっと寝ていたのですから、身体を洗ってから食事にしましょう」


 君はシェルに手を引かれて、洗い場に連れて行かれた。

 さっぱりしてから食事をすると、ようやく落ち着いた感じになる。

 ブラウズは相変わらず仕事に出ているみたいだったが、シェルの表情は明るく見える。


「そうでした。丁度、食材を切らしたのでお買い物に付き合ってもらえますか?」


 シェルの頼み事に君は……。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る