第5話 Dパート~正義~

「……」

「――あ」

 目覚めると、そこは病室だった。

「――あぁ、勇……」

 ハツネさんが目を泣きはらしてる。珍しいな。

 でもこんなとこで足踏みしてる場合じゃない。

「……行こう、ハツネさん」

 僕はベッドから立ち上がる。基地内には、ラスタ・レルラの来訪を告げる緊急警報が鳴り響いていた。

 しかし、ハツネさんは動かない。

「あ……で、でも、そうすれば、勇は、また、あ――」

 ハツネさんが言葉を言い切る前に、僕は彼女の震える手を握った。

「……許せないんでしょ。ラスタ・レルラが」

「ッ!」

 僕は、なんとなく理解していた。彼女が異星に来てまでも戦う、本当の理由が。

「自分の中の正義感が、あいつらの悪行を見逃せないんだよね」

「……勇」

 僕も同じだった。この星を壊そうとするラスタ・レルラのことが赦せなかった。だからか、同じ思いを抱くハツネさんの気持ちが、理解できる気がしていた。

 図星を突かれたのか、ハツネさんは視線を下に落とし……そして、小さくうつむいた。

「……ごめんなさい。私、自分の我が儘のために、勇を利用してしまった。そのせいで、命まで危険に……」

「……謝らないで。僕は、その気持ちが間違ってないと思うから」

「ッ!!!」

「誰だって許せないものはあるって思う。そして……それを前に黙って見過ごせるほど、僕も大人じゃない」

 そういって僕は掴む彼女の手の力を強くした。

「一緒に戦おう。僕が協力して君の助けになれるなら……やれるだけやってみるよ」

 僕の言葉に、ハツネさんはしばらく無言になる。

「……どうして」

 そして、尋ねた。

「どうして勇は……そこまでしてくれるんですか?」

 その答えに、僕は笑って答える。

「簡単だよ……困ってる人を見逃せない。ただ、それだけさ」

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