SF:グレートロード

のいげる

プロローグ

 かってこの惑星に資本主義が蔓延っていた時代、世界は無数の巨大経済統合体により支配されていた。

 経済統合体たちはお互いに食らい合い、最終的に五つの家系が残った。


 最大の富を誇る商人であるビーンズ家。

 生体工学に優れたブッドバッド家。

 機械工学の権威とも言えるスラマー家。

 同盟と法律を司るバスタル家。

 そして最後が傭兵のカーナート家。

 この五大家はこう呼ばれた。グレートロードと。


 しばらくはこの五大家が不安定なバランスの上で支配を続けていたが、各家系間の争いごとを利用してカーナート家が勢力を伸ばしたのが良くなかった。

 不安に駆られた他の四つのグレートロードたちが同盟を組み、カーナート家を攻撃したのだ。

 戦いは長く続いたが最後にはカーナート家は滅んだ。

 だが問題はそれで終わりでは無かった。グレートロードでさえ、上手くやれば滅ぼすことができるという前例ができてしまったからだ。

 こうして残った四大家はお互いに殺し合いを始めた。これをカーナート家壊滅の時点も含めて後世ではグレートロード大戦と呼ぶ。

 最終的に生き残ったのはビーンズ家であったが、世界を支配に収めた直後にビーンズ家の当主が謎の死を遂げ、その結果、地球上の生産のすべてを行っていた洞窟型自動生産工場、通称ザ・ダンジョンへのアクセスが断たれてしまう。

 甚大な戦争の被害に加えて、技術生産の総てを失った以上、失墜は避けられない。


 こうしてグレートロードの世界は終わった。

 すべての金属資源がグレートロード大戦中に消費され尽くしていて、また残った金属資源も掘削不可能な地中遥か深くに存在していたために、文明の復興は絶望的だった。

 人類は僅かな超技術文明の遺物と共に中世の文明にまで退化した。


 この物語はそんな時代を生き抜く者たちの物語である。

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