知らぬが仏。かくして天才はクズに溺れた




※BSS注意




────────────────────




「おい、ヒカル!お前新入生の、あの紅紗雪と幼馴染ってまじなの?」


「いいよなぁ美人な幼馴染!わざわざこの学園にきたのもお前を追ってだったりして!」


「うるせえな、そんなんじゃないよ。

最近は話すらしないし、お互い何とも思ってないよ」


「まぁ紅ちゃんめちゃくちゃ美人だもんな!お前じゃ釣り合わねーか!」


「うっせ!俺は帰るから!」



俺は酒井 光 (さかい ひかる)


中肉中背の平凡な容姿。運動も並。

人並みに友達もいる、何処にでもいるような平凡な高校生だ。


強いてあげるなら、中学受験まで神童と呼ばれていたことと、美人で天才と言われる1個下の幼馴染がいることくらいだ。



俺はかつて神童と呼ばれていた。そのことに誇りを持っていた。要領の悪かった紗雪に勉強だって教えてやっていた。


だが中学受験に失敗し、滑り止めの中学に入学してからは歯車がズレた。

正直最悪の気分だったが、俺には紗雪がいた。

いつも俺の後ろをついてきた紗雪はその頃にはまだ子供ながらどんどん綺麗になっていて、正直俺は惹かれていた。


だがいつも俺の後ろにいた紗雪は、俺が落ちた中学に首席で合格した。



なんてことはない、下に見ていた紗雪に、

いつの間にか追い抜かれていただけ。

よくある話だ。そんなよくある話の当事者である俺は、紗雪に対して劣等感を募らしてしまった。


紗雪は変わらず俺に絡んできたが、その内容は今までと違った。

俺はもっとできるはずだ、勉強しよう。分からないことは教えるから。



俺より下にいたはずの紗雪が、いつの間にか俺を見下していた。

わかってる、そんなつもりはないってことは。でも心の狭い俺にはどうしてもそれが受け入れられなくて、俺は紗雪を遠ざけた。

俺に転校しろなんて、どんだけ上からなんだよ。俺より下だったくせに、なんて醜い感情が溢れた。

イライラした。紗雪にも、俺にも。

だから俺はつい、紗雪より頭の良い人はザラにいる。そんな高校に通ってるんだ、なんて言ってしまった。

まぁ、この学園は変わり者が多いから、あながち間違いではない。探せばいるはずだ。



そんな紗雪が、遊嵐学園に入学してきた。

友達には俺は関係ないなんて言ったが、間違いなく紗雪は俺を追いかけてきた。

...まぁ俺が適当に言った紗雪より頭いい人がザラにいるなんて妄言を信じた可能性もあるにはあるが...流石に頭のいい紗雪がそんな嘘を見抜けないはずないだろう。



だから多分紗雪は俺を追って来たんだ。

あの、中学生で一番頭が良いなんて言われている紗雪が

とんでもない美人に成長した紗雪が、だ。


ここまで思われてしまうと、正直俺も意地を張ってばかりではいられない。紗雪は入学してから俺に連絡を寄越していない。喧嘩別れしたようなものだからな、気まずいだろう。ちゃんと、俺から会いに行こう。今すぐは勇気が出ないけど...俺と紗雪じゃ釣り合わないしな...あああ!せめて俺が高校を卒業するまでには、必ず、紗雪に謝ろう。紗雪は俺のことをどう思っているんだろうか...


仲直りできたら、あいつと勉強以外のことをしてみたい。デートとかしてみたいな。もしできたら、勇気を出して、小学生ぶりに手を繋いでみよう。そこまで考えて、未来に少し希望が持てた。

...紗雪、今何してるのかな...。

なんて思ったが、あいつのことだ、どうせ勉強だろう。そう結論付けて、内心で苦笑した。





◇◇◇





しゅ、しゅごかったぁぁぁ...

セ、セックスってしゅごい...



「なんか、身も心も軽くなった気分だわ。

佐藤君の言った通り、知らないうちにストレス溜まってたのかしら」


そう独りごちて、顔を上に向ける。

スヤスヤと眠る、端正な男性の顔がそこにはあった。


佐藤優。私の同級生であり、天才と言われる私から首席の座を奪った男。そしてついさっき全てのハジメテを奪っていった男。


世俗に疎い私でも知っている人気モデルであり、同年代の女性人気が凄い。

そして綺麗とか、大人っぽいとしか言われてこなかった私を女の子なんて可愛らしい名称で呼んで...それに...可愛いって...。


今私は裸でそんな男の腕を枕にしながら、彼の身体にはしたなく抱きついている。


だって落ち着くんだもん....

筋肉すごいし...しゅきぃ。



はっ!?違う、違うわ!

あくまでストレス発散のためのパートナーよ!これも勉強のためよ!それだけ!

そんな、一度抱かれたくらいで好きになるなんて...私はそんな軽い女ではないわ!!




...まさか私がこんなことをするようになるとは思わなかった。

勿論セックスと言う行為は知識として把握していた。

けれど私は今まで恋などした事もないし、

親しい異性の友人なんてヒカルくらいしかいなかった。

だから私には無縁の行為だと思っていたのだけれど....




「佐藤君、これからもしてくれるのかしら...」




正直に言おう....

凄かった。なんか...なんか...痛かったのは一瞬で、その後はどんどん感じたこともないような快感が込み上げて来て...見上げると見える佐藤君の顔が凄い綺麗で...しゅきぃ。

今まで勉強ばかりしていた私が滑稽に思えた。



「しかし、これは正直...かなり恥ずかしいわね...まさか私からあんな声が出るとは...それに...あ、あんなことまで...は、はしたなすぎる...

佐藤君は私の他にも色々な女の子とセックスをしているみたいだけれど...私には無理ね。恥ずかしすぎて、佐藤君以外にあんな私は見せられないわ。それに...初めて見た。あんなものが私に入っていたなんて信じられない。し、しかも、あ、あれを...な、な、舐めることもあるなんて....」


そう呟いてチラッと視線を下に向けると、そこには佐藤君の凶悪な佐藤君がある。



あれを上手く舐めれたら佐藤君は喜んでくれるのかしら...

そういう動画がこの世にあるのは知っている。次に佐藤君に会うまでに予習しておいた方がいいだろうか....

ちょっと細すぎる気がするけど、きゅうりが近いかしら...?買って帰ろう....




「にゃ!私は一体にゃにを!?..はしたない...ううう」



これも全部佐藤君が悪いわ!

私は佐藤君にダメにされた!

責任を取ってもらわねば!!

起きたらもう一回してもらうしかないわね!

勉強のために!あくまで勉強のためだ!

そうよ、私はどんなことでも勉強しなければ落ち着かないから!これは仕方ないことなの!

そうよ!100回の練習より1回の実践と言うから!

これは必要なことだ!佐藤君しゅきぃ。



そして私は佐藤君に身体全体で思い切り抱きついて、また眠りについた。



はぁ...しあわせぇ...




──────────────────


次回、幕間

原作の話です。

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