第5話

【第三十二戦 第三十三戦 中三の七月】


「律子、千里。どっちでもいいから俺の恋人になってくれ!」


「あんた、フラれた回数稼ごうと、私たちにそんなこと言ってるんでしょ!」


「ばれたか……」


三十二敗目、三十三敗目確定。






【第三十四戦 中三の八月】


「もう自分の中学だと有名になりすぎて、告白してもフラれます。なので、隣の中学校まで遠征しにきました。そんなわけで、僕と付き合ってください!」


「あんた、誰よ……。言ってる意味がわからないわ……」


三十四敗目確定。






【第三十五戦 中三の八月】


「好きです。僕と結婚してください!」


「未亡人になって30年。キミは他界した夫によく似とります。もうじき90歳の誕生日を迎えるおばあちゃんですが、やっぱり夫がわすれられません。ごめんなさいね」


三十五敗目確定。






【第三十六戦 中三の八月】


「かーちゃん、好きだ。俺と結婚してくれよぉ」


「何言ってるんだい、この子は。夏の日差しにおつむがやられたのかね」


三十六敗目確定。






【第三十七戦 中三の九月】


「雨宮先生、僕と不倫しませんか。僕のほうが相川先生よりも、いろいろと凄いですよ」


「キミ、内申書に何書かれても文句言えないわよ。覚悟なさい」


三十七敗目確定。






【第三十八戦 中三の十月】


「田中さん!」


「ごめんなさい!」


「マジ、はやっ! 年に一回ぐらいのペースであるパターンだよね!」


三十八敗目確定。






【第三十九戦 第四十戦 中三の十月】


「律子、千里。最近、女子が俺の顔を見ただけでごめんなさいって言うんだ。だからお前ら俺と付き合って恋人になってくれないか。二股だけど、お前ら仲良しだから俺を奪い合って、血みどろの三角関係になんてならないだろうからさ。頼むよ。俺、お前らを平等に愛するからさ」


「死ね」


「本当に死んでくれ」


三十九敗目、四十敗目確定。






【第四十一戦 中三の十一月】


「沢中さん、好きです。僕と付き合ってください。もう男でもいいからさ!」


「中一の時に、断っただろ。マジキモイから……」


四十一敗目確定。

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