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「まあ、安心しろ。その身体じゃ動けねーが『穴』としては使える。どこに行っても公衆便所は一台、必要だからな〜。その点、お前にはまだ利用価値があるってもんだ。だろ?」


「ううっ……!」


 テルキの然り気無いその言葉に、ジュンは砂の上に爪を立てて敵意を燃やした。


「こんな状況だから人間は、気づくってもんよ。いや、遺伝子の問題だな。俺様はこの島から脱出して子孫繁栄を築く。そこにオカマのお前は邪魔なだけだ」


 テルキはそう良い放つと、タバコを再び吹かしながらゲスの話を続けた。


「第一オスとオスがやってもベビちゃんは出来ねーのが問題だ。これが遺伝子の問題だったらなおさら話は別ってやつだ。だからな、正直に言ってやる。いいや、この際だから言ってやるぜ。俺は女とヤって種植えして、自分の子孫繁栄を築く。だからお前はもう必要ない。寧ろオカマのテメェは洋梨ラフランスだ」


「ひっ、酷いっ…! 僕の純情を弄ぶ気っ!?」


「ハン、オカマの純情なんて知ったことかよ〜。俺はな、下半身と欲望に素直なだけだ。悪い男に引っ掛かったお前が悪いんだよ」


 テルキはそう話すと吸っていたタバコを砂の上に落として靴で踏んで消した。腐れ根性丸出しの言葉に、ジュンは恋人に向かって砂をかけた。


「この腐れチ●ポ侍、お前なんかどっか行っちゃえーっ!!」


 ジュンがそう言って泣きながら砂をかけてくると、黒いスーツにかかった砂を肩から振り払って下に落とした。

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