狂ったショートショート怪談

@kaka04

第1話デリートボタン

「おめでとうございます!!

 お客様は見事デリートボタンに当選さ れました。

 こちらからぜひスマホにダウンロードして下さい」


商店街でやっていた福引でデリートボタンなる物に当選した。


当選したはいいが何に使うのか分からず、しかもスマホにダウンロードしなくてはいけないらしい。


「仕方ない、家に帰ったらやってみるか」


私は家に帰宅し、もらった紙のQRコードを読んでデリートボタンなるアプリをダウンロードした。


「ウイルスとか入ってないだろうな...」


そんなことを思いつつ、デリートボタンの説明を読み進める。


説明によると、自分が消したいと

思った物を何でも消せるらしい。


消す方法はアプリを開き、ボタンが出てくるからタッチする。


「胡散臭いな」


私は試しに自分の机に置いてあるペンを消えろと念じながら、ボタンを押した。


するとどうだろう、ペンが跡形もなく消えた。


「これはすごい...!」


私はこのアプリにすっかり魅了されてしまった。


自分の消したいものを消せる、まさに神になったような気分だ。


私はその日から次々に消した。


同僚、家族、恋人。


ちょっとでも気に食わなれば消す。


そのうち私の周りには何も残らなくなった。


妙な虚しさ。


孤独。


喪失感。


私は最後に、自分が消えろと念じながらボタンを押した...

















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