第22話 ペロル、デュロットに戻る
またもや三日をかけてデュロットの街へとたどり着いた。例の声は三回脳内に響きステータスはいつも通り、スキルはお預け状態にしてある。今回は着いたのが夕刻だったこともあり、宿屋で一泊してから領主様の元へ向かうことにした。
宿屋に入ると姉妹の姉が受付をしていた。
「とりあえず一泊お願いしたいんだけど」
そう言うと、カウンターの下から妹が飛び出してきた。おまけに両手を広げて何かをねだっている。ペロルはその手に銀貨一枚を乗せると妹ちゃんの頬が膨らんだ。笑いながらペロルは小さな陶器を妹ちゃんへ渡す。
「待ちに待ったお土産だよ。南の村で買ってきた水あめだ。両親に相談しながら食べるんだぞ」
妹ちゃんは姉へ銀貨一枚を手渡した後、厨房の方へ走り出した。まだまだ元気盛りである。
「ごめんね。高かったでしょ」
「稼いでいるから大丈夫だよ」
ペロルは名簿へ名前を書き入れた。夕食は既に食べられる時間だったので夕食を頂く。その日のご飯はお土産の影響か少しだけ量が多くなっていた。気がする。
次の日、宿を出て真っすぐ領主の館へ向かい、到着すると執事さんが待ち受けていた。
「ようこそお越しくださいました。ペロル様。旦那様がお待ちです」
執事さんが中へ案内した後、黙々と歩いて先導してくれたため黙って後を着いていく。到着したのは謁見の間ではなかった。執事さんがドアをノックした。
「旦那様。ペロル様をお連れしました」
「入ってもらえ」
執事さんはドアを引き、ペロルが入りやすいように道を開けてくれた。遠慮なくペロルは中に入る。
領主様は既にソファに座っていた。ペロルは領主様と対面になるようにソファの前に移動する。
「遠慮はいらん。腰かけよ」
そう言われたので腰を下ろす。
「で、ペロルよ。スティーリアはどうだった?」
「兵たちにも良くしていただき良い街でした」
「そうか。で、代官から私宛に書類を預けられたのではないかな?」
「はい。こちらです」
ペロルはストレージから預けられた書類の束をテーブルの上に取り出した。領主様はそれを見て頬をひきつらせていた。領主様が一番上の書類を手に取り目を通し始めた。時間がかかることを覚悟したペロルだったがそれは杞憂に終わった。
「ペロルよ。まずはデュロットとスティーリアの間で荷物の運搬を請け負ってくれないか。これは代官も同意見で私たちから其方の商会に依頼をする事を確約する」
「もったいなきお言葉。ではまずはそうさせていただき必要なものを準備させていただきます。それとこれを領主様にお渡しします」
「地図のようだがこの点は何かな」
「実は私のスキルが成長しまして、私に悪意のある者や魔物が地図上に表示されるようになりました。その点はおそらく魔物のすみかとなっている場所です」
「分かった。時間はかかるであろうが討伐隊の準備をする。この後は執事に従い其方の商会の店舗を確認してきてくれ」
「了解しました」
これで領主様との面会は終わった。
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