感情術師は不遇である〜天才感情術師、技能学園で成り上がる〜

龍百

第1話

技能、それは魔神の作った魔物から身を守る手段として神から与えられた力であり

通常では考えられない奇跡を起こす力


そんな技能を育成する為の学園、技能学園


弱小技能である感情術の天才と呼ばれた俺は貴族の義務としてこの技能学園に入学する事になった


「なーにが貴族として領民を守る為に技能を鍛えてこいだよ俺は十分強いだろうが」


魔術師系の人達が俺の感情術師としての実力を評価してくれたお陰で推薦枠だから良いけどさぁ…


「入学試験とか面倒くさくてやってらんねーよ」


そもそも弱いって思われてる感情術しか鍛えてないから試験させてくれないとかもあるからな、やってられん


「とりあえずは入学式だな」


技能さえ使えば何時でも入学式の会場に行けるからな

…そろそろ始まるだろうし行くか


支配欲:空間支配


「!?あ、あー、突然現れた生徒もいるが入学式が始まる前に少しだけ技能のおさらいをするぞー」


あー、最悪、分かってる事を聞かされる奴じゃん

めんどくせー


「えー、まず技能は種別と階位、そして技術で構成されている」


種別が感情術、剣術、魔術、裁縫術などの何をする技能かを表す所で技能使用の時に言ったりはしない

もっとでかい枠組みに武術、魔術、生活術があるな


階位がランクなどを表していて

さっきの支配欲:空間支配で表すならの支配欲の部分に当たるな

即時発動を習得していなければ口に出す必要がある


技術が何をするか、要するに何の技かだな

またさっきので表すと空間支配の所だな

即時発動を習得してなければ口に出す必要がある


「そしてこれらのうち種別と階位を口に出し祈る事で技能を発動させるが即時に発動させる方法もある」


それが即時発動だ

技能は神に祈りが届くのが発動条件だから

より強く祈れば無言でも発動出来るって奴だな


…マジで全部分かりきってることの説明じゃん

退屈すぎる、早く終わってくれ〜


ーーー


「ふぁぁぁぁぁぁあ」


寝てたわ、ってかこれもう入学式終わるな

だってみんなが帰る時の音で目が覚めたからな


いや、あと一つ、入学式が終わった後のお楽しみが

あるんだっけ?


"神の眼"


自分の技能の熟練度を知ることのできる神器

感情術はこの神器が生まれたとき存在してなかったらしく"神の眼"で感情術の熟練度は分からない


「本当に"神の眼"を作った神もセンスないよなぁ」


感情術の熟練度を知れない時点で他の技能をいくら知れてもほぼ無意味なんだよなぁ…


「は?お前…"神の眼"のこと、馬鹿にしたな?」

「それがどうしたんだよ?」


「テメェ…感情術師風情がぁ…!」

「あ"ぁ"!?感情術師"風情"…だとぉ…!?」


感情術馬鹿にしやがって…!

絶対許さねぇ…!


「「決闘だ!!!」」


ーーー


下級生同士の決闘は珍しい物ではない

しかし、今回はかなり特殊な二人の決闘である


故にすぐに人が集まった

かくいう俺もその一人である


感情術における天才、リード・グラム

今年の首席合格者、スタイン・リースベルト


両者ともに特級の天才であり

そんな二人が初日から決闘するともなれば一年生で初日でも流石に人が集まる


しかし俺が聞く限りそんな天才二人が決闘する原因は口喧嘩としか読み取れないが…これは信じて良いのだろうか


リースベルトは感情術を馬鹿にして

クラムは学園の神器である"神の眼"を馬鹿にした


その口喧嘩の延長線上で彼らは決闘しようとしているらしい

しかし決闘は負ければ絶対服従の重い儀式


そんな簡単に始まるとは思えないが…

…まぁ天才の決闘を見られるだけ幸運だと思おう

理由なんて気にするだけ無駄だ


ーーー


「フーッ!フーッ!」


コイツ感情術馬鹿にしやがった許せねぇ!

主席とか関係ねぇわ、ボコボコにしてやる!


開始の合図はコインが地面に付いたら!

一撃で決める!


今ッ!!!


「怒:憤撃ィ!!!!」

「基礎剣術:居合ッ!!!」


凄まじい速度で迫る木刀

しかし俺の拳は木刀ごとこのアホの体を殴りぬいた


「…中々痛てぇな、やるじゃねぇか」

「クソっ…完敗だ…」


あっ、アイツ倒れた

…まぁ応急処置ぐらいしてやるか


「慈悲:処置」


あとは、医務室まで運ぶかぁ…


ーーー


「あの、すいませーん、怪我人連れて来ました!」

「はぁ!?入学初日から怪我人!?何してんの!」


ですよね!!!

そりゃあ怒られるわ…


「あ、すいません、決闘しました」

「決闘ぉ!?何馬鹿なことしてんのよ!もう!怪我人の治療するからここに寝かせなさい!」


めっちゃ怒ってる…

…これ俺が決闘相手だと分かったらマズいのでは?


「…じゃ!自分は色々あるんで!」


逃げよう!

このままじゃ絶対怒られる!せめて一日寝かそう!


ーーー


「感情術を、君を馬鹿にしてしまって済まない

…それと応急処置ありがとう」

「…え?」


謝られた…?

え?じゃあ俺はなんのために決闘したの?


「…俺は決闘で負けた、何でも命令してくれ」

「じゃあ一番恥ずかしい事して」


やらせる事ねぇから俺を楽しませて〜


「…え?」

「だってもう謝ったから命令すること無いし…」


俺は謝らせるつもりだったんだけど…なぁ?


「ま、待ってくれ!君の思う恥ずかしい事なら何でもするからそれだけは勘弁してくれ!」

「…え?何かあるのか?」


めっちゃ狼狽えるじゃん


「ああ、女装なんてしよう物なら姉や母がやって来て着せ替え人形にされた上に絵にして一生残される!勘弁してくれ!」

「…じゃあ女装して」


なんでしてほしくないのに言っちゃったの?


「性格悪いな君ィ!」

「だってちょっと見てみたいと思っちゃったし…」


こいつめっちゃイケメンなのよ、だから可愛らしい服を着せても割りと絵になりそうなんだよな


それがまた好奇心をくすぐるよな


「クッソ!もっとぼかして言うべきだった!」

「一日、一日だけでいいから、な?」


明日からたった一日でいいのよ?


「…え?女装して学園にいかなきゃだめ?」

「そりゃあもう、それが嫌だったら学園以外全て5日間女装をしてもらうとか…」


これでも一日にしてるのは慈悲やぞ


「クソぉ!完全に弱味を握られた!」

「いや、辱めるついでに見るだけだし今後はよっぽどの事がない限り勘弁してやるぞ」


知識欲がこの辱めに踏み切った理由の3割だからな

残り7割は面白そうだからだ、震えて眠れ


「…!本当か!助かる!」

「おう、じゃあ明日楽しみにしとくぞ」


ちゃんと女装して学園まで来て下さいねぇ〜???


「…うん」

「ごめん、ごめんな、でも見てみたいんだよ!」


流石にそこまで落ち込まれると申し訳ない…


「うん…」

「…送ろうか?」


う〜ん、流石に酷いことしてる気分になってきたぞ…?


「ありがと…」

「分かった、寮まで送る」


支配欲:空間支配


ざっくり寮の近くまでワープ!


「うし、部屋は?」


ワープ成功!

いやまだ失敗したこと無いけどね


「103」

「分かった」


いやぁ…ごめんな!でも見てみたいんだよ!

お前みたいなイケメンの女装姿を!

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