第14話 過去

私は、昔のことを思い出していた。


茉理まり咲璃えみりは、咲璃が話せるようになったころから仲が悪かったのだと思う。


よく些細なことで喧嘩していた。


あのおやつは私のものだ、あのおもちゃで勝手に遊ばないでほしい、なんかがそうだ。


以前から仲が悪かった二人だが、去年のがきっかけでさらに仲が悪くなったような気がする。


ある休日のお昼、茉理は和室でお昼寝していた。きっと昨日本に夢中になってあまり寝られていなかったからだろうと思っていた。


私自身もそう思ってリビングでのんびりテレビを見ていたのだが、ここであの事件が起こってしまうのである。


私がソファーでウトウトしていると、和室のほうから声が聞こえた。


「ゔっ…助けて…苦しい…」


明らかにおかしいと、私は和室のほうへ行ったのだが、そこで見た光景に思わず衝撃を受けてしまった。


咲璃が、寝ている茉理の首をマフラーで絞めていたのである。


私はとっさに、両親を呼んだ。


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