昨日の夜は涼しかったし…

「そもそも──」


 あと5歩で<雪だるま>な位置。


 真瑠さんは、そこで立ち止まりました。


「…材料の雪は、どうしたのよ?」


「夜中に降った」


 <雪だるま>まで、あと3歩な位置までは近づきたい樹由さん。


 前にいる邪魔な真瑠さんの横をすり抜け、更に前に進もうとします。


 それは、手を伸ばした真瑠さんに邪魔されました。


「どうして、私の腕を掴むかな」


「─ 夏に、雪は降らないよね?」


「まあ、昨日の夜は涼しかったし」


「── 百歩譲ってそうだとして、何で今はないの??」


「夜が明けて暑くなったから、溶けた」


「でも… この<雪だるま>は溶けてないじゃない!?」


「だって、<雪だるま>だし☆」


「どういう理屈よ…それ……」

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