お泊り会エピローグ

 湯船の中で何か重要なことを考えていたような——と思いながらも…僕の頭に伝わる懐かしい感触に体を預けて、再び思考の海へと沈む。





 まずは、本物の穂花と如月健斗の行方

     エリスの真名を如月健斗へ教えた人物




 ——正直、舐めていたかな。リュンの組織が如月健斗を勧誘する可能性は考えていたけど…まさか、作者である僕の予想を上回る程の物とは…ね。






 僕達が生活するキプロス王国から遥か北に位置する華国かこくと呼ばれる絶対王政をしている国がある。




 僕の設定通りならば、七章舞台の華国かこく編はそこまで強くない筈だ。故に、魔王に比べれば、大したことないと考えていた甘い認識を正す必要がありそうだ。





 ——本来、エリスは魔王側で…あの人が契約者になるはず…。けど…未来が歪んだ現在いまはどうなるんだ…。




『主よ…悔しい事に妾には其方の考えていることは、全く分からぬのじゃ。未来の事は未来の妾達に任せて、今を見る方が大切だと妾は思うのじゃ』

 ——今!? どういうこ…




 集中力が切れたのだろうか…。僕の耳に僕の名前を呼ぶ彼女達の声が届き始める。





「…花…して!!」

「……花…………る時です…」

「…花!!せっか………………のにやだ…………よぉ」




 ——太陽は僕をまっすぐに呼びかける。

 ——月は僕に囁きながら目覚めを促す。

 ——大樹は僕へ寄り添いながら起こす。



「おはよう、心配かけてごめんね。どうやら、のぼせてしまっていたみたい。」




 僕の発した言葉に安堵する彼女達の表情を見ていると、心が安らぐ。





 既に僕の身体には水色のネグリジェが着せられており…いつでも寝れる状態って……………





「もしかして、裸…見た…?」

「な、何をかな!!あ、あたしにはわかんないや!!」

「穂花…変なこと言ってないで寝ますよ」

「梓もそう思います!!」





 ——アフロディーテ、何か知ってる?

『む…まぁ…あの三人はたっぷりと主の身体を見てたのじゃ。まぁ、初心な性への探求と好奇心じゃな。特に何もしてないのじゃ』

 ——ううっ…恥ずかしい…。けど、人名救助枠から仕方ない…!!この羞恥に耐えるんだ…!!




「………三人共…今日はもう遅いから寝よっか…?」




 なんとか絞り出した言葉…それと共に、僕が目を覚ました頃にはすっかり辺りは夜になっていた。




 三人もわかっていたのか、特に拒否する事なく…頷いたのを確認して、シングルベッドの上に並んで寝転ぶ。

 ——多分、僕達が子供だから四人で寝ることが可能なんだろうね…。


 


 …

 ……

 …………




 えーと…僕が真ん中で、なぜかジャンケンで勝ったよーちゃんと玲緒奈が隣へ、なぜか負けた梓が悔しそうな表情をしながらも、僕から少し離れた位置で寝転ぶ。





 一階のソファー等で眠っているであろう親達のことが気になりながらも、ベッドへ全身を預けた瞬間、完全に意識を手放してしまった…。




 ◆◇◆◇




 窓から陽射しが舞い降りるのと同時に目を覚ます。母親達の様子が気になっていた僕は、慌てて、自室の扉を開き、階段を駆け降りる。




 ダイニングルームへ到着すると…既に、目玉焼きとパンが僕達の人数分用意されており…お母さんだけが緑色のソファーの上でコーヒーを片手に寛いでいた。




 そして、その近辺にある茶色の机の上には、畳まれたレスタ魔法学院の制服が三着用意されている…。




 ——つまり、よーちゃんと玲緒奈の父親は制服を取りに一度帰って…もう一度、ここを出たのかな…?それを言うなら、僕のお母さんも梓の家へ行った…?まぁ、これに関しては深追いしなくてもいっか…。




 僕は、推測することをやめてお母さんに声をかける。



「お母さん、おはよう」

「今日は、いつもより早いじゃ無い?おはよう」

「お母さんのことが気になって…」

「それはとても嬉しいこと言ってくれるじゃ無い?でも、ダメよ〜。お父さんと穂花の恋人達にバレないようにしないと——ほら、睨まれてるわよ?」




 僕が後ろを振り返ると…階段の方に三人がいた。




 ——いくら僕でも、身内であるお母さんとまでやらないよぉぉぉぉ!!

『日頃の行いじゃな』




 アフロディーテの返答する間も無く…三人へ謝りながら、朝食を取り、制服に着替えて四人で玄関を開けて…レスタ魔法学院へと向かおうとした瞬間——




「お•は•よ•う•ご•ざ•い•ま•す♡」




 東雲先生の雲ひとつない笑顔が僕達を待っていた!?




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 お泊まり会、これにて終了です。誤字脱字ございましたら報告してください!!(誤字、修正いたしました)

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