第7夜 我が親友①

今宵は我が親友が、「猫の恩返し」をご所望である。


友は、バロンとやらが推しだ。それをはなから知っている私は、金ローのジブリ祭りでこれが放送されるや否や即録画ボタンをポチッとな、我がBlu-rayの中にしかと奉納済みである。それはもちろん、年柄年中「ウチでバロンに会えるよ」と、恰好の晩酌相手を釣るためである。

友よ、悪く思うてくれるな。



今夜もまんまと釣れた友、しかし今回この子と会うこと自体実はちょっと久しぶり。


我が宅集合までには、あと2時間ほどある。

ンハハなんなら、普段よりかは豪勢なつまみでも用意しながら、ロング缶一本くらい空けておこうじゃないの。

ホラ、ひさーしぶりに再会する親友と顔を合わせるのって、なんだか心なしか気が張るであろう?だからこそ、あらかじめ神経をアルコールでヒタヒタに漬けて麻痺させておくのだよ。妙な緊張がほぐれ、リラックス効果と頭の聡明化が期待できるからな。

すなわち、友と飲む前からすでにおくのさ。さすればのちのち、スムーズに万事がはかどる。



キッチンの隅っこにエビスを一本添えて。

砂肝を喉の通りやすい大きさにカットし、青ネギと和えて炒め尽くす。また、一口大の鶏もも肉と白ネギを、3:2で交互に串刺して焦げ目をつける。

あら、良いおつまみが完成したじゃないの。あとはバロン推しの友垣を呼んで、今宵のウタゲは完成じゃ。ああ、言うておくが日頃、友と飲む時は格別豪勢な料理をするとこはないんだ、友自体が良いオカズになってくれるからの(ただの話し相手)。


まこと、我が酒にまで付き合ってくれる親しき友には「ありがとう」の一言では足らぬものよの……。


しばし待て、い友がウチの床を踏むまで——。

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