二つ目

 週六勤務、サービス万歳の会社に翌日には辞表を出していた。部長の唖然とした表情を思い出しながら白米五杯食べた。


資金は、

マイホーム : 一割

株 : 三割

貯蓄 : 四割

自由金 : 二割

 で回していった。自由金はすぐになくなっていったが株の方が大当たりし、金が金を産むようになっていった。不労所得を得てからはそれを超えないように使っていった。まぁ、超えるほど使うほうが難しいが。

 それからは死ぬほど遊んだ。友人達と世界一周、毎日夜が明けるまでパーティー、抱いた女も三桁を越した。金があれば出来る事は全部やった。友人も沢山増えた。全て奢ってやったし、高級品も何十個も買ってやった。毎日が楽しかった。

 ただ、人間は悩む生き物だ。どれだけ幸福になっても悩みの種は生まれてくる。金が増えて友人はたくさん増えた。だが、こいつらは本当に俺が好きで一緒にいるのか?俺がお金を出してくれるから一緒に居てくれるだけなんじゃないか?今までの女達の中に俺の事が本当に好きな奴なんていたか?俺は自分の家にいる沢山の友人かどうか分からないやつらに囲まれながら孤独感を抱き始めた。

 俺は確かめてみることにした。みんなを集めて俺は言った。

「最近金遣い荒くてさー、貯金減ってきたから今日から奢ったりするの辞めとくわー笑」 周りの奴らは「冗談だろー笑」と、あまり真に受けていなかったが、俺が本当にお金を使ってくれないと分かると一人が口を開いた。

「お前に金が無かったら何も取り柄無ぇぞ?じゃあな。」 パーティーの途中で一人が帰るとさらに並んで何人も玄関から出ていった。最終的には全員が居なくなった。

 誰もいなくなった広間で椅子に腰掛け、深呼吸を挟んでからゆっくりと目を瞑り心を落ち着かせた。平常心を取り戻してきた時、ノートの存在を思い出した。俺はノートを取り出してきて机に広げた。すぐに筆を走らせる。




[すべての人間は俺の事が本当に好きになる]






帰った奴らが全員戻ってきた。

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