ボッチのグルメ 後編


 前略お母さん。

 私は貴女の作ったお弁当を前に、何故か孤◯のグルメをする運びとなりました。


『うんうん、こういうのでいいんだよ』


 私のモノローグなど関係なく、メタ子は隣でアフレコを始める。

 そもそもなんで人が弁当食ってる時にアフレコすんの? 馬鹿なの? ああ馬鹿だったわコイツ。


(しかしこうなるとマジで面倒だ。さっさと食って昼寝でもーーーー)

『お、卵焼き。俺、甘い味付け好きなんだよなあ』

(!? いよいよ始まりやがったか!)


 橋を持つ手に緊張が走る。

 なんだろう、この言い様の無い圧は。撮影中の松◯さんもこんな感じなのか!?


『というかお弁当、キキラ◯とか可愛いじゃないの。こういう子供っぽい雰囲気、俺、案外好き』

(微妙に言わないだろそんな台詞! つーかキキ◯ラをディスんな、可愛いだるおぉ!!)

『えーと、キキラちゃんとラちゃんだっけ?』

(分け方のクセ! どんな分割法だよそれ)

『そう言えば私にも双子の妹が居るんだけど、最近なんでか口を聞いてくれないんだよね』

「え!? メタ子双子の妹いんの!?」

『梨々香、今は貴女は井之◯五郎だよ。梨々五郎なの』

(なんだよ梨々五郎って。つーか凄いカミングアウトをぶっ込んでくんなよテメェ!)


 こんなインパクト強い奴に双子の妹いるのかよ。想像するだけでゾッとするわ。


『ちくわ大明神』

(え!?)

『さてさて、次のオカズはーーーー』


 ちくわって何だ、ちくわって何だよ!! 入ってねえよ!! 話も入ってこねえよ!!


(いかんいかん、コイツのカオスなワード選びの情報処理にリソースが割けない。ここは黙々と食って終わらせよう)


『トゥントゥントゥクドゥン!』

「!?」

『デンデンデデデデ!デンデンデデデデッ!』

(こ、これはもしやーーーー)


 食事がラストスパートになると始まる、あの勝ち確BGM!?


『テレレレーレーレーレーテーレーレー♪』

(……何というか)


 ようやく卵焼きを頬張り、もしゃもしゃと咀嚼しながら天井を仰いだ。


「これ、なんの時間?」


 この日を境に、YouTub◯で孤独の◯ルメを見たという生徒が増えたそうな。

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