第34話 迷子2
ユグさんは、ここら辺に住んでいるらしく、あまりにも僕らが迷子になっていて、それでめちゃくちゃしだそうとしたので止めたらしい。
「それで、えっとルナと徹は何処に行きたいんだ?」
そうユグは尋ねてきた。何処に行きたいか?
「…………とりあえず、一番近くの安全なところですかね。」
そう僕が言うとユグさんは少し悩んでから
「分かった。少し歩く。」
そういって、歩き始めた。少し知らない人なので信用は出来ないが、ずっと迷子よりは絶対にましだろう。とりあえず、ついて行くことにした。
「ねえ、徹、今の間に次どうするかを決めておきましょう。」
ルナさんはたぶん、何も考えていないのか、能天気にそんなことを言っていた。まあでも、最悪なんとかなる気がするから大丈夫か。えっと確か、ここは今、中央大陸で、中央大陸の近くにあるのは、確か、天空のダンジョン、中央大陸の天に届くほど高い山、天空山にあるダンジョンだったけ。他には中央大陸と魔大陸の間に海神のダンジョンがあったけど、まあ天空のダンジョンが近そうだし、そっちかな?
「それじゃあ、ひとまず天空のダンジョンを目指しましょう。」
それで、天空山ってどこにあるのだろうか?
「徹、天空山の場所知らないでしょ。私も知らないから行き方を調べないとですね。」
その会話に先を進んでいたユグさんが口を挟んできた。
「私は、部外者ですけど、案内してくれる人を探すことを進める。絶対に迷子になる。」
そんな辛辣で的外れのことを言ってきた。まあ、しょうがない、たぶんまだ10歳だし、僕らが方向音痴だと勘違いしているのだろう。今回はたまたま迷っただけで、というか、樹海的なところで迷わないほうが難しい。
そんな会話をしつつしばらく歩いた。
かなり、歩いた。いや、少しじゃないだろこれ。
やっぱり、何かの罠だったのか?
いや、だったらなんでわざわざこんなに歩かせる、信頼させるためにたくさん話しかけてくるとかならわかるが、そういうこともしていない。なんだ?
「ルナ、なんかおかしくないですか?」
僕が小さな声で言うとルナは、こっちを見て
「おかしいです。だって、ユグっていう少女、消えてしまいましたから。」
そういった。はぁ?
僕は意味も良くわからないまま、前を見るとさっきまでいた、少女の姿はどこにも見当たらなかった。
「えっ…………」
僕が絶句しているとルナさんは笑いながら
「冗談です。徹がボーっとしている間に、少し先の様子を見てくるとか言ってましたよ。」
そう言った、そうか…………そうか?なんで先の様子を見てくるんだ?
「何で先の様子を見てくるかとか言ってましたか?」
そう僕が言うとルナは不思議そうに首をかしげて
「えっと、確か、この先は、どうのこうの言ってました。」
そういった。ルナは基本的に対人と関わる回数が少ないし、たぶんたいてい魔法で何とかなるから、あまり警戒していないのだろう。あんまり、話を聞いていない。まあ僕も別のこと考えてたから同レベルだが。
「じゃあ、ここで待っておけば良いんですかね。」
「はい。」
そう言ってからさらにしばらく時間が経過した。
「帰ってくるの遅いですね。ユグさん。」
そうルナが呟いたときに、ガサゴソと何かが動く気配を感じた。一瞬、ユグさんが帰ってきたものだと思ったが、違うらしい。
「貴様らが不法、世界樹の森に不法侵入している人間とエルフか。」
その声と共に筋肉質で犬の耳のようなものを持ち、独特の衣装で身を包み剣を持った人が現れた。その人物がおそらくリーダーだろうが、それ以外にも四方八方に同じような見た目をした人々が武器を構えながらこちらを睨んでいた。
なんかまずい状況だが、とりあえず、どうしようか。
正直、何を言っているかわからないがそうだな、とりあえず。
「違います。」
そう答えておいた。
「…………貴様、舐めてるのか?ふう、まあよい。大人しくついてきてもらおうか。」
青年は僕の発言に少しキレかかっていたが、隣の12歳ぐらいの少女に説得されて、冷静になりながら呟いていた。
「嫌です。」
僕がそう返すと、その青年はゆっくりとため息をついた。取り囲んでいる人の武器は全員剣とか槍とか。ルナさんは魔法を使えばこの人たちを簡単に倒せそうだが、普通に殺しかねない。
「ルナ、二手に分かれて、後で合流しましょう。」
「何で?私が魔法で。」
そういうルナさんに僕は、笑顔で
「力加減出来ずに、命まで取ってしまいますよね。僕が、あの人たちを倒すので、ルナさんは一旦逃げてください。僕が倒せればそこで合流。無理で、帰ってくるのが遅ければ、その時は、助けに来てください。そこで合流しましょう。まあ、捕まったら捕まったで僕は情報をゲット出来るかもで何かあったら臨機応変に。」
そう僕がルナさんに説明すると彼女は少し不服そうに不機嫌そうにしていたが
「分かった。徹」
なんとか了承した。
「ああ、それとルナさん、魔法を使うときは、なるべく手加減をして魔法を使ってくださいよ。敵意がない相手とか、殺意がない相手には手加減して魔法を使ってくださいよ。」
そう僕が言うと彼女は少し不満そうにしながら、
「じゃあ、またあとで」
そういうと魔法を使いながら全力でこの場から離れていった。
「逃がすな」
その声とともに僕を取り囲んでいた。人々がルナの方向に向かったので僕も、そこに走り込み、先制のパンチを食らわせた。
「まあ、頑張るか。」
そう呟きながら拳を構えた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます