第12話 閑話 それからの人々

寺坂 徹が行方不明になってから1週間が経過した。寺坂 徹は原因が不明だが、何者かに殺害されて、死亡したと考えられる。その理由は寺坂 徹の大量の血液が飛び散った場所が見つかったからである。なお死体は見つかっていない。


城下町のある借家での話

そして、彼のメイドをしていたアンナはクビになった。彼女は後悔していた。彼女には一つ心当たりがあったのだ、犯人の寺坂徹を殺した犯人の。

「あの時、私がしっかりあの不気味な男を捕えていれば……あるいは」



それは、寺坂 徹が決闘を挑んだパーティーと同じころに起きていた出来事。

アンナは、寺坂 徹に付きまとっていた不審者を追い詰めていた。

「これは、本当に想定外。嫉妬するねその強さ。流石と言ったところか。」

不気味な青年は追い詰められながらも笑っていた。


「何者だ?どうしてここまで警備があるのに入ってこれた?答えないさい」

アンナがそういうと青年は笑った。


「そうだな。いや、これはむしろ幸運かもしれないな。嫉妬する。やはりあいつにも主人公になる才覚があったらしいな。ははは」

アンナにはその言葉の意味が分からなかった。


「何を言っているんですか?」


「まあ、分からなくてもよいが、お告げをあげよう。君たちは今からこの世界の神がいるところに向かうとよい、ああ、君の思う神だ。それでは、私は勝てない試合はしない主義なので、さようなら」

不気味な青年は笑いながら指を弾くとその場から消えた。



明らかに怪しかった。

「そういえば、お告げとか………」


ドンドンドン、ドアが激しくなった。アンナはない事かと思い仮住まいの家のドアを開けると荷物を持ち、いつもの少し動きやすいがかわいらしい服を着たシャーリーが木刀を持って立っていた。


「アンナ探したぞ、徹を探しに行くぞ。徹は生きているぞ、だって徹が使った木刀は何をしても形が変わらない、徹のスキルはまだ発動しているってことでしょ。だから徹はまだ生きているぞ。」

シャーリーはそう告げた。


(それなら。もしかして、あの青年のお告げは…………)

「えっと、シャーリー様、とりあえずどうやってここに?」


「それは、普通に脱走してきたぞ。今、王宮では、徹のくらすめいと?が何か騒ぎを起こして、それから第二皇女を連れ出して数名が行方不明になったて大騒ぎだったので、その隙に逃げてきました。まあ、お姉様は、たぶん大丈夫でしょうし。」

シャーリーはそういうと荷物を置いた。


「それで、脱走できたとしても、どうしてここが分かったんですか?シャーリー様。

王宮の外に出たことありましたっけ?」


「それは、異世界から来た人たちがことごとく問題を起こして一般兵に降格させられたって笑いながら言っているおじさんが教えてくれたぞ。」


(おそらくアルベルトだろう。)

「シャーリー様、今ここで徹様を探しにこの国を出たら、もうこの国の皇女には戻れないかも知れませんよ。」


「そんなの分かってるぞ。でも、決めたのだ、私は、徹を探しに行くって。それとアンナに弟子入りして強くなるってことも決めた。」

シャーリーの決意は固かった。


「えっと、分かりましたシャーリー様。でも2つ聞いてもいいですか?弟子入りするのは私でいいですか?それと何で、徹様にそこまでこだわるんですか?」


「うん?それは、アンナは強いし、それに聖剣伝説の主人公と同じ名前でしょ。徹はね、なんとなく、ビビっと来たからだぞ。」

シャーリーは笑いながらそう言った。


「なんというか、適当でシャーリー様らしいですね。分かりました、探しに行きましょう徹様を。」

あの青年の言葉を信じるわけではないがこの世界の神がいるであろう場所にシャーリー様と向かうことにした。







王宮のある場所での話

「皇帝陛下、どうするんですか?私のクラスメイト数名が脱走して、そして消えたのが一人、そして数名が不信感を抱いているって、はははやばいじゃないですか。」

委員長は笑いながらそう皇帝陛下に尋ねた。


「そもそも寺坂 徹が消えたって、言うのは君が悪いだろ。しかし、まあ消えたのが寺坂 徹なら問題ない。それに、神崎 優斗がいなくなったのは都合がよい。残りの逃げた人は捕まえたら君が好きにしてよい。」

皇帝陛下は少し困り顔をしつつそういった。


「い委員長…………なんで?これは?」

それは遠見という名のこの国から逃亡しようとしたところを委員長に捕らえられた生徒だった。


「じゃあ、さっそく」

不気味で悦楽的な委員長の笑みと共に王宮のある場所に一人の青年の悲鳴が響いた。






帝国近くの場所での話。

そこには4人の人がいた。

そこで、神崎 優斗は宣言した。

「今から、魔族の国があるという魔大陸に向かおうと思う。このままこの大陸にいるよりはましだと思う。それに、徹の仇を取らないといけない。…………絶対に。」


その宣言に二人の少女、第二皇女と相川 愛美は無言でうなづいた。


「…………それなら、私は別行動で、ここまでありがとうございました。」

辻堂 麗はそういうと別の方向に去っていった。引き留める声や説得を聞かずに辻堂は歩みを進めた。今はその選択が吉と出るか凶と出るかは誰にも分からなった。





この世界のある場所での話。

「皆さんやっと封印が解けて、相変わらず嫉妬しますね。」

9個ある円卓の席がありそこには7人の強大な存在がいた。


「「「「「「自由にやらせてもらう(もらうわよ)(もらうの)」」」」」」

そんな声が重なり、その場にいた4人が姿を消した。そして一人はその場で寝始め、

一人は食べ物を食べ始めた。


「その自由さ、嫉妬しますね。」

その場を後にした。







恐らく世界で最も深い場所での話。

そこには一人のエルフがいた。

可憐で美しい見た目をしたエルフは

「今日も今日とて私は1人。」

そう呟きながら、周りにいる魔物を炎で焼き払っていた。その時に彼女は気がつかなったのだ。魔物で無い物を一緒に焼き払っていた事を。






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