第11話池田あかねとゾンビ

翌週の土曜日、また、藤岡の家にあかねは現れた。今夜は、友達も連れてきた。

「お控えなすって、お控えなすって」

「お控えなすっててなんだよ!」

「早速のお控えありがとうございやす」

「控えてねえよ」

あかねはニコニコしながら、

「実は、彼女ゾンビなの」

「えっ」

「半年前に神之原公園の砂場で見つけたの。それから、今日やっと外出できたの」

「あかねちゃん、美人なゾンビだね」

「あれ、栗原さんは?」

「買い出し」

「今日はケンタッキー買ってきたよ」

「ありがとう」


「お嬢さんの名前は?」

「千代ともうします」

「僕は、藤岡よろしく」

「藤岡殿の事は姫からよく聞いてあります。魔羅が自慢の許嫁だと」

「あかね。ゾンビにそんな話しすんなよ」

「だって、千代ちゃんそう言う話し大好きだもん」

「しかし、千代さんはお美しい」


ガチャ


「あっ、帰ってきた」

「ただいまでござる」

「……!もしや、あなた様は栗原さまでは?」

「そうだよ」

「千代でございます」

「……千代、チヨ、ちよ……あっ鉄火場の千代か。400年ぶりだな」

「ねえ、栗原。千代ちゃん知ってんの?」

「2人で駆け落ちしようと考えてござったが、先に殺されもうした」

「殺された?病気ではございませんの?」

「弟の乳母に毒をもられたてしもた」


「先ずは乾杯しよう。トマトジュースとビール買い溜めたから、レッドアイで。千代ちゃんもそれでいいかな?」

4人は乾杯した。

深夜まで、語ると藤岡とあかねは2人を残して部屋をでた。

「なんだ、あかね。ゾンビと同棲してたのか?やっぱり日光はダメ?」

「うん」

「2人は400年前カップルだったんだね」

「そうみたいだね」

「ねえ、あかね、今夜は2人は、400年ぶりに再会したんだから俺たちホテルいこうよ」

「……いいよ」

「じゃ、マロンかエルミタージュだな、朝までヤろうね?」


2人はネオン街に消えていった。

一方、自宅では栗原と千代が400年分の話

楽しんで いた。

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