第6話ゾンビとお出掛け

「栗原ゾンビ、起きろ~」

「後、半刻」

「1時間も待てるか!着替えろ!紅葉狩りだ!」

藤岡はとっくに着替えて、髪も整えている。

「殿、ホントに拙者が外に出ても大丈夫でごわすか?」

「ああ、直射日光を浴びなきゃいいんだ」

藤岡は栗原にジーンズとパーカーを着せて、靴下も履かせて、顔にはたっぷり日焼け止めを塗った。

一応、サングラスとマスクはつけた。

「殿、まだ紅葉は色付かない季節では?」

「ノンノン、御在所ございしよから、ロープウェーに乗ると山奥は紅葉が始まってるんだ」

「殿、ろーぷーなんちゃらは、何ですのん?」

「ま、付いてきな」

「ははっ」


2人は駅に向かった。藤岡は缶ビール片手に栗原はトマトジュースを飲みながら歩いた。

すると、後ろから声を掛けられた。

「すいませ~ん。お兄さん方、ちょっとお話しいいですか?」

「何ですか?」

警察官であった。

「殿、この者は?」

「警察官、昔の同心だわ」

2人はリュックの中見を見せた。

栗原のリュックには、トマトジュースが5本。

藤岡のリュックを警察官が開こうとすると、

「たわけ者!同心ごときが殿の袋を漁るとは!」

「ごめんねぇ~、仕事なの」

藤岡のリュックには保冷剤と缶ハイボールが入っていた。

「ちょっと、ボディーチェックいいかな?」

「どうぞ」

2人は無事に解放された。

「ご協力、ありがとうございました」


気を悪くした、栗原は殿にハイボールをもらった。

そのまま、観光バスに乗る。

バスが動き出すと、

「殿、なんとこの椅子に座ると、動き始めましたけど。逃げなくては!」

「バカ、これは、バスと言って昔の馬車と同じだ。小さな乗り物あるだろ、あれも同じただ」

「ほほう、400年前と随分、変わりましたな」

「当たり前だ。人間の知恵は果てしない」

栗原は、トマトジュースを飲みながら、到着をまった。


2時間後


ここが御在所岳だ。

「見てみろ、栗原。山の上は紅葉が始まってるだろ。ロープウェーに乗るぞ」

「ははっ」

2人はロープウェーに乗った。

ガラス張りの箱は頂上目指して動き出した。

「と、殿。怖いでござる。それがし、高い場所にがてっちゃけん」

「見てみろ、紅葉が赤いぞ」

栗原は目を閉じていた。

「いやー、殿、見事な紅葉でしたな」

「嘘つくな!目を閉じてたじゃん」

「エヘヘヘッ」

「気持ち悪いなぁ」


「栗原、飯はうどんでいいかい」

「うどんは肉、血の次に好きですばい」


2人はうどんをすすった。腹一杯なった2人はまた、ロープウェーで降りて、観光バスに乗った。

だいぶ、ゾンビから人間に近付いてきた栗原に、プロテインを飲む様に命じた。

それから、1ヶ月の帰宅後の事だった。

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