第13話 輩(やから)

ほろよいのハピクルサワーを愛飲している。

アルコール度数も3%で、お酒の弱い私にちょうどいい。ひと缶飲むと酔っ払ってしまう。


でも最近スーパーでハピクルサワーを買った時、

1週間分の7本を買ったはずなのに、


一本だけストロング系のレモンサワーが混じっていた。アルコール度数9%という、私から見たら超ド級の数値を叩き出してる飲み物だ。


多分、レジの人がほろよいひと缶だけバーコードを読んで7掛けしたのだろう。レシートがないからわからないし、返品もしづらい。


多分、補充の人か別のお客さんが、ハピクルサワーの中にストロング系を混ぜたと考察できる。


考察できても、ストロング系は厳然と残っている。


『ストロング系』

人に例えたら、なんだかすぐにケンカを売ってきそうな、怖い感じがする。


怖い輩(やから)が冷蔵庫にいる。


私は輩を避けて、ハピクルサワーを毎晩1缶ずつ飲んでいった。


すると最後に輩が残った。


私はその輩をどうしようか悩んだ。このまま飲まずに、ハピクルサワーを買って来ようか。


でもそうすると、いつまでも冷蔵庫に輩が居座ることになる。

私は悩んだ末に、輩を飲んでしまうことにした。


缶を開けると、すぐにケンカ腰の強いアルコール臭がした(ような気がした)。


私は輩を一口飲んだ。

そして二口飲んだ。

飲めないこともなかった。


が、半分ほど飲んだ時、輩が私の中で暴れ出した。

頭がフラフラして、顔が熱くなって、心臓がバクバクした。


取り返しのつかないことをしてしまいました。


でもお酒が回って、なんだか強気になった私は、残りの輩を討伐しなければ!と、一息に飲み干した。


その後は記憶がない。気付くとソファーで寝ていた。


テーブルの上のスマホを見ると、記憶がないままいろんな人に電話した履歴が残っていた。


再び、取り返しのつかないことをしてしまいました。


たしかに私は酔うと人と話したくなるが、こんなにかけたことはない。


輩が私の体を乗っ取ってやらせたのだ。

わけのわからない電話をかけられたみんなには、

そう言いわけして、謝ろう。


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