第6話

 そして、引き取りの日。

 僕は警察署に電話して、最後の捜索確認をした。答えは、出ていないとのことだった。そうして、僕はお金を用意して、動物病院に向かった。


 動物病院に着くと、後ろ足は動かないが、元気になった助けた猫がいた。

 獣医さんと僕は、どれっど王国さんの到着を一緒に待った。

 やがて、1台の車が入って来る。どれっど王国の車が来た。

「どうもー。どれっど王国です」

 どれっど王国の職員さんが車から降りて来る。

 僕の助けた猫をゲージに入れ、乗って来た車の後部座席に乗せた。

 後部座席のドアを閉めようとした時、僕は職員さんに声をかけた。

「あの、すみません。この猫の名付け親になっても良いですか?」

「いいですよー」

 そうして僕は助けた猫の名付け親になる。

「タマ」と名付けた。

 そうしてもうひとつ訊きたいことがあったので訊いた。

「あの、タマにたまに会いにいってもよろしいですか?」

 「いいですよー。但し、うちの住所は誰にも教えないで下さいねー」

 すぐに答えが帰ってく来た。

 住所を誰にも教えない。それはそうだろう。どれっど王国さんの住所が公表され、捨て猫に溢れてしまったら、猫の世話もタダではない。そんなことになったら、どれっど王国さんが壊滅してしまう。

 僕はそのことを了承し、どれっど王国さんの車が動物病院を去って行くのを見送った。

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