第3話『呪いの勇者はバフ役の仲間が欲しい』

平和な街を求めてエリクシアと共にパーティを組み、どうやら始まりの村っぽい所に辿り着いた。


 人が賑わい安全そうな街に着いたことで、俺はエリクシアと一段落する。本当にここまで来るのは大変でした。何度も死にかけたんですから。


 「数が多い! エリィ、魔物を一箇所に集めてくれ!」


 「カケル、任せて!」

 

 「おりゃゃゃゃ!」


 確かに雑魚しかいませんよ。そりゃ、この辺は強い魔物なんていない。簡単に一網打尽に出来るが……。


 「……チーンッ」


 「カケルー!」


 諸刃の剣のせいで、俺は一太刀振っただけで死にかけるのだ。哀れすぎるよな。エリクシアが回復(熱いディープキス)をしてくれていたから、何とかなっていたような感じです。


 この激動の二日を乗り越えて俺らは、始まりの村、エルムーアに到着したのである。


 始まりの村、エルムーアに来た目的は、安全確保もあるのだが本命はそこじゃない。


 この村には『冒険者ギルド』があるからだ。ギルドを頼れば仕事も斡旋してくれるし、弱い敵だけ倒していればエリクシアと平和にスローライフ出来ると睨んでの事だった。


 「そうだなぁ。まずはギルドに向かおうか。ギルドカードを発行しよう」

 

 「私達、冒険者になれるの!? やったー!」


 「これから平和に暮らして行こうなエリクシア」


 この街は、人種に差別なんかしない。住みやすい環境だった。俺を見るなり、少しヤバいんじゃないかみたいな視線には会うけれど、皆んな気さくに声をかけてくれる。

      

 エルムーアを少し散策した後、俺とエリクシアは、正式に初心者冒険家としてギルド登録をすることが出来た。


♦︎♦︎♦︎♦︎


 「ーーこのままじゃ、まずい!」


 数ヶ月が経ち仕事も斡旋して貰ったので、ある程度生活の基盤が出来つつあった。まぁ、それでもボロ屋で寝泊まりする程しか稼げてないけどね。


 時期的な問題らしいけど仕事が難しくなっていって、今現在は余り依頼が回って来ないらしい。


 「ゴブリンの巣窟駆除……。俺達じゃ無理だよなぁ……。」


 「カケルは呪いの影響で早く動けないから仕方ないよ」


 「気を使ってくれてありがとう。あ、いいこと思い着いた!」


 「いいこと?」


 「新メンバーを入れよう」


 今の俺達に足りないもの。それは新しい仲間。欲を言えば、俺にバフをかけてくれる優秀なバッファーだ。


 俺は足が遅いし、命中も不安定だ。だからこそ人材さえあれば、もっと楽に金を稼ぎエリクシアと気ままに生活をすることが出来るだろう。


 俺はギルド酒場の求人ボードに決意を固めて仁王立ちした。


 「えーと、元気で明るいパーティですっと。バフ役は優遇します」

 

 「私達、呪われてるんだし元気で明るくはないんじゃない?」

 

 「いいんだよ。これはブラックパーティのお約束みたいなものだから。旅は道連れだ」


 「説得力ありすぎて怖い」


 求人を出して数時間後、ギルド酒場でエリクシアと待機していると一人の少女が我々のパーティに声をかけて来た。


 「あなたたちですか? 最強のバフ使いを探している方は」


 「はい? まぁそうですけど」


 「私はバフにおいて最強の魔術師マリエルと申します。是非私をパーティに入れて下さい!」


 「嫌だー!!」


 人族なんだろうか。何かがぶっ飛んでいる。


 服が黒を主体としたゴスロリ、見た目はちんちくりんで可愛いけれど、偉そうな感じと謎の汚い人形を肩に乗せていて、正直この娘に関わるとヤバいと悟る。


 エリクシアと顔を合わせ、俺達は絶句してしまった。

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