第10話 バツの謎が解けたと思ったのに

主治医と出会ってもう2年になるが、未だに腕のバツは消えることがない。

薬は効いているのだとは思う。

だけど、根本的な解決には至っていない。

宮北大地の言うように苦しかったあの頃を思い出す必要があるのかもしれない。

だけど、怖さの方が強くて耐えられる保証がどこにもなかった。

バツを消すのに死にたくもない。

消すなら楽に消したい。

バツのせいで夜、たまにトラウマが夢に出てくる。

そんな時はいつも泣いている。

もうこんなに苦しいなら首を切って死にたいくらいだ。

そんなある日、いつものようにトラウマにうなされた時に、バツをなぞり自分の血を肌につけた時にバツがひとつ減ったのだった。

それを見て、小さくできたバツを同じようにしたらいつの間にか消えたのだった。

なんだ、宮北に頼らなくても平気じゃないかと思ったのだった。

だが、それはただの気休めだったのだ。

次の日になるとバツはいつも通り存在していたのだった。

どうしようもなくなり宮北に相談したのだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る