第2話 最初のバツは痛かった

私の名前は工藤春。

春は母が春が好きだったからつけられた名前。

私は春に生まれたわけではない。

生まれたのは初夏だった。

夏に生まれていれば、母が夏好きだったら、私の名前は夏だったのかなって思ったりもする。

私の腕に残る見えないバツはたくさんある。

そのひとつ目は小学生の頃だった。

私が上手くやらないせいでいつも失敗してた。

私は他の子より頭良く効率的に母の望みを叶えられなかった。

私の頭が悪いせいで、勉強が出来ず母はいつも言っていた。それは母はもし出来るなら他の子と交換したかったと言ったことだった。

子供心に分かるのは私なんて要らないんだってことだった。

私は言われるたび自分自身を守るために、そんなことないよって自分に言ってたけど、限界だった。

私は母からの言葉に傷つき腕に小さなバツが出来た。

それが初めての傷だった。

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