はずれ職業の転売ヤー。運命を変えるために奮闘中

加糖のぶ

第一商 追放からの夢を追いかけて

転売ヤーの旅立ち

第1話 日常の崩壊




 日常が非日常に変わったのは、特に何にも無い昼下がりの昼休みだった。

 


 目元まで長く伸びる黒髪を持ついかにも陰キャといった男子生徒が一人席に座りスマホを注視していた。

 その画面には今流行りのフリマアプリ。通称「メルカー」と呼ばれるアプリの画面が映し出されている。


「どうするか。4万で買ったカードだ。12万で売れるなら……だが、もっと待てば高値に……でもこれを売って美品を買えば……」


 その男子生徒、須藤は以前安値で買ったカードを通常よりも高値。転売価格で売ろうとしていた。須藤は周りに隠しているが『転売ヤー』と呼ばれる忌み嫌われる存在だった。


 楽しい、楽しい昼休みの教室でブツブツと一人席で呟いている姿はクラスメイト達から異質に見えていた。


 周りからも「見て見て、また須藤君一人でブツブツ話してるよ」「関わらない方がいいよ、なんか危ないよ」……そんな声が囁かれる。


 クラスメイト達のことを気にもしていない須藤は決心を決めたのか、転売する商品を相手を三昧した末に……カードを手放すことにする。


「――決めた。さらばブラッ○ー。お前はやがてPSA10として俺の元に戻ってこい!」


 そして須藤は売却のボタンを――押す。


 押した瞬間、スマホの画面が光り輝く。


「――は?」


 そしてそんな間の抜けた言葉と共にその光はクラスメイト達がいる教室をも巻き込む。


「な、なに?」「ちょっ、なんだよこの光!?」「誰よ、今私のお尻触ったの!!」「待て、そんな話よりもなんかやばいから逃げ――」


 

 なんの前触れもなく突如起こる謎の現象にパニック状態になる。

 少しするとその光も収まる。だがそこには須藤含むクラスメイト達の姿はなかった。




 2024年4月24日、集団神隠し起こる。



 この話は日本中、世界中に広まる。


 学校には沢山の取材やマスコミが来た。だが教員達や巻き込まれなかった生徒達の証言は「わからない」ということだった。


 そのことは謎が謎を呼び、昼休みに突如として集団で『神隠し』にあったと話題になる。


 

 

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