無題
他所様から見たら失恋かもしれない。恋に敗れたという表現もできよう。
けれど私は、それを失ってもいなければ敗れてもいない。
最初から、独り相撲だった。
勝手に落ちて、突然終わり、ひとりでに泣いた。
貴方の隣は空席だと、勘違いしたばっかりに。
出会うタイミングが悪かったと、そんな言い訳通用しない。
次こそはなんて、もっとあり得ない。
心が全てを否定した。「理性では選べない」。
好きの感情は突発的。貴方の条件に惹かれた訳じゃない。貴方の笑顔に呼ばれた。
言葉の選び方、持ち物のセンス、周囲の人との関わり方。どれも全部満点だけど、後付けの裏付け。
世の中には沢山の理不尽がある。
納得行かないことの方が断然多い。
そことどう折り合いをつけるか、その技術を学ぶことが、大人の必修科目。
誰も教えてくれないから、学派や正統派などなく、有るのは三者三様の応用力。
私も学んだ。人の気持ちを変えるのは難しい。
涙が止まらないのなら、叶わぬことを悔やむためでなく、自分のために泣いたらいい。
よく耐えたね。美しいものを目の前にしながら、よく目を瞑ったね。
そこに未来は無くとも、君の中に明日がある。
あの人の隣にいなくとも、新しい一日は君のもとにやって来るから。
時間の薬は遅効性だけれど、その間に磨かれる愛への解釈。
ほら、分かるだろう。もう見失うことはない。こちらに向けることも出来るのだと気づけたのなら。
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