第47話 カップルの定番

 様々なエリアに行っては、パスが発行されているアトラクションのを手あたり次第に取る。


「零二くん次こっち!」「次はここ!」「あ、あとここも!」


 テキパキと指示しながら行動する奏の目は、いつもの天然さは感じられず、女上司という感じであった。

 なんかカッコいい。こうゆう一面も見れるのは彼氏の特権なのか。いや、幼馴染の時も年一くらいは見てたか。


 グルっと一周、小一時間ほどで園内を周り、再度トイストーリーのエリアに戻って来た俺達。


「よ~し、これでスムーズに回れるね~」


 手に持ったパスを眺める奏。


「ここのアトラクション乗り終わったくらいから回ればちょうどいいくらいか?」


「うん!そんな感じだと思う!」


「なら列に並びながら休憩しよう。ちょっと疲れた」


 小走りで一周するのは流石に体にくる。

 奥の方はまだ空いていたが、手前の方に戻る時の人混みは凄まじかった。

 人の流れを逆に行ってたからな。


「休憩だったら、列並ぶ前にこれ買わない?」


 そう指さす先には、そのエリアカラーに装飾されている出店。


「お前がお腹減ってるだけじゃないか?」


「えへへ、バレた?」


「バレバレだ」


 お茶目に舌を出す。


 相変わらず食いしん坊だな。まぁ、美味しそうに食べるところは見てるこっちまで嬉しくなるしいいんだが。


「えと~、零二くん何買う?」


 出店の前に行くと、メニューを眺める。


「とりあえず、俺はチュロスだけでいいかな」


「なら私は~、ポップコーンと、零二くんと違う味のチュロスと、このリトルグリーンまん食べようかな?」


「買い過ぎじゃないか?」


「だって、待ってる間にお腹空いたら困るでしょ?」


 お腹が空くのは奏だけだ。それに、この後行くエリアでも買うだろうし、これはお金がすっ飛ぶな。

 頼み終わると、アトラクションの列に並ぶ俺達。


「60分か、さっきより短くなったな」


「よかったね~」


 横にいる奏の首からは、エリア限定のポップコーンの入れ物が掛けてある。

 なにこの言葉では言い表せない可愛さ。子供っぽい所がまたいい。


「ん~、チュロス美味しい~」


 頬を抑えながら、チュロスを頬張る。


「確かに美味しいな」


「零二くんの何味だっけ?」


「俺のはシナモン、そっちは?」


「私はチョコだよ~、この掛かってるチョコソースがめちゃおいしいのぉ~」


 唇にそのチョコを付けながら喋る。


「ねね、零二くんのやつ一口ちょうだい?」


「ん、いいぞ」


 チュロスを向けると、あーんと大きな口を開けてかぶりつく。

 テーマパークでチュロスあーん。これもカップルの定番だな。でも、やって見ると良さが分かる。

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