学校の完璧超人の聖女様に告白してOKもらったけど、束縛が激し過ぎて即別れたらヤンデレストーカー化した話

ALC

第一章 高校生編

第1話聖女様と恋人になる

「佐伯が聖女様に告白して成功したらしい!」

「マジ!?あの聖女様と恋人になったの!?羨ましい!」

学校中は僕こと佐伯進と聖女様こと不破聖の話題で持ちきりだった。

「どんな手を使ったんだ?あの難攻不落の聖女様を落とすなんて!」

「わからないけれど、噂によると聖女様も佐伯のこと元から好きだったらしい!」

「そんなことある!?あの聖女様だよ?佐伯じゃ釣り合わないだろ〜」

「さぁね。なんでだろうね〜」

クラス中はそんな話題で持ちきりだった。




先日の話。

僕は意を決して聖女様こと不破聖を屋上に呼び出した。

僕の学校での立ち位置は平均的な場所だ。

上位でも下位でもないカーストの一匹狼だ。

友だちが居ないわけではないが多いわけでもない。

そんな僕でも憧れる存在。

それが聖女様こと不破聖だ。

彼女は成績優秀、容姿端麗の完璧超人。

誰にでも優しく非の打ち所のない性格も彼女の魅力の一つだ。

そんな彼女を放課後の屋上に呼び出した。

「佐伯くんどうしたの?」

彼女は呼び出しに答えてくれていつもの微笑みを絶やすこと無く僕の前に現れた。

「うん。端的に言って好きです。付き合って下さい」

僕の言葉を耳にして彼女は少し俯いた。

俯いた顔が少し妖しい微笑みに見えたのだがきっと気の所為だと頭を振る。

「本気で言ってる?」

それに頷いて答えると彼女は満面の笑みで答えをくれる。

「それじゃあ。こちらこそよろしく」

というわけで僕と不破聖は付き合うことと相成った。




その日の帰り道。

一緒に帰ることとなり家まで送り届ける途中の電車で彼女は僕にスマホを渡すように要求する。

「連絡先登録するからスマホ貸して」

聖女様の笑顔を間近で見て僕の心は跳ね上がる。

(くそ可愛いな…!)

内心ではそんな事を思いながら僕は言われた通りにスマホを渡した。

「ありがとう。素直で良い子だね」

彼女はそう言うと僕の頭を軽く撫でた。

(こういう扱いも悪くないな…!バブミを感じる…!)

そんな事を思いながら僕はデレデレとした表情で電車に揺られていた。

数分で彼女は僕にスマホを返してくれてスタンプを一つ寄越す。

「明日も一緒に学校行こうね?後で住所送って?朝、迎えに行くよ」

「悪いよ。僕が迎えに行くから」

「大丈夫。今日は送ってもらうんだし、私の家は学校から反対方向だし。佐伯くんの家はどの辺?」

それに対して僕は住所を口にすると彼女は頷いて答えた。

「ほら!私が迎えに行って一緒に行くほうが効率的でしょ?」

それに頷いてお礼を口にすると明日の朝の予定も決まった。

「お弁当も作ってきてあげる。好きなものは何?」

「でも…。悪いよ」

その言葉を耳にすると彼女は首を左右に振った。

「毎日、自分のお弁当も作ってるから。一つ作るのも二つ作るのも変わらないよ。それに…」

彼女はそこまで言うとハッとして口を噤んだ。

「それに?」

「うんん。何でもないよ」

そう言うと彼女は何かを誤魔化すように可憐な笑顔を僕に向けた。

彼女の家の最寄駅に着くと僕らは電車を降りて彼女を家まで送る。

「それじゃあまた明日ね。すぐに連絡するね」

それに頷くと僕は帰路に着く。

帰宅してすぐに彼女からメッセージが届く。

「今日は付き合った記念一日目だね!告白してくれてありがとう!私も佐伯くんのこと好きだったから嬉しいよ!」

そのメッセージを目にして僕は何とも言えない感慨に浸る。

(聖女様も僕を好きだった…!嬉しい!)

嬉しい思いが胸を覆い尽くして返事をするのに時間がかかってしまう。

「どうしたの?既読着いたのに無視?」

それを目にして僕は慌てて返事をした。

「ごめん!感慨に浸っていた!あまりにも嬉しくて!」

「何が嬉しいの?」

「ん?不破さんが僕を好きだってことが…」

「当然でしょ?佐伯くんは隠れた人気者だから」

そこまでやり取りをして僕は首を傾げる。

「僕が人気者?そんなわけ無いでしょ」

「そんな事あるよ。可愛いって人気だよ」

「可愛いって…。あまり嬉しくないな」

「えぇ〜!そんなことないよ!可愛い男子って良いじゃん!」

「そうなのかな…。でもまぁ不破さんに言われたら嬉しい」

「そう?じゃあいつでも何度でも言ってあげるからね」

そんなメッセージのやり取りを寝るまで繰り返して僕らは次の日を迎える。




宣言通り彼女は朝に僕の家まで迎えに来てくれて一緒に登校する。

学校につくとクラス中は噂になっており彼女はそれでも僕の席まで一緒に来て弁当箱を渡してくる。

「はい。約束のお弁当だよ。お昼は一緒に食べようね?」

それに頷くと僕らは朝のHRが始まるまで一緒に過ごす。

授業の合間の休み時間も昼休みも放課後も一緒に過ごす。

「こんなに僕と過ごしていいの?友だちとか…」

帰り道に問いかけると彼女は薄く微笑んだ。

「いいの。私には佐伯くんさえ居れば良いんだから」

その言葉を耳にして僕の心は満足感でいっぱいになる。

(愛されるってこういうことなんだな…)

そんな事を思いながら僕らの恋人関係はいつまでも続くと思っていた…。

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