第8話狙われた先生

弓道部員の、中川、原口、広瀬は校舎1階の職員室付近に罠を仕掛けた。

弦に引っ掛かると、矢が飛んでくる仕組みだ。

もう、日没前。作業は夕暮れまでに済んだ。

校舎内に明かりが灯る。

校舎外からは、自衛隊がライトで照らしている。

中川が現場から去ろうとすると、突然名前を呼ばれ、びくついた。

声の主は、野球部員の吉原だった。

「こんな所で、何してんだ?」

「まぁ、罠を」

「あのクソジジイを狙っているのか?」

「うん、まぁ」

吉原の他に4人いた。

みんな、金属バットを持っている。

「オレたちがあの老いぼれを殺してやる」

と、仲間の1人の藤田は目を充血させながら言った。


バタン


音が聞こえた。トイレのドアが開く。

全員、廊下の角に隠れた。

みんな、田辺を観察した。ショットガンらしきモノは手にしていない。

こっちは、弓道部員3人、野球部員5人。

飛び道具の無い、老いぼれなど敵ではない。

吉原は、田辺の方向へ振り向き、

「田辺~、今からお前を殺してやる」

廊下の端から端まで、30mはありそうだ。

田辺は日本刀を手にしていた。

「殺れるもんなら、殺ってみろ!」

全員が田辺と対峙した。

「吉原、罠しかけてるから、こっちに呼び寄せろ!」

「うるせぇ~、オレたち野球部がリンチしてやる」

吉原達、5人の金属バットを持った野球部員は、田辺に向かって走り始めた。

田辺は、日本刀を構えた。

「ま、待てっ!吉原~」


ヒュンヒュンヒュン


ドスッドスッドスッ


見事、野球部員は腰辺りに矢が突き刺さっていた。

そのうち1人の新川は腹に矢が刺さっている。

弓道部員は走って現場から逃げた。

「吉原のバカがっ」

中川は悔しかった。

倒れ込む野球部員に田辺は近づいて行く。

「た、田辺先生。オレたちは重傷だから見逃してくれ」

「そうだな、重傷だもんな」

「せ、先生。ありがとう」

「早く楽にしてやらなきゃ」

「な、なっ!」

田辺は項垂れている新川の首を日本刀で切り落とした。

「ヒィッ」

「情けない声出すんだなぁ~、吉原。お前は最後に殺してやる」

タバコに火をつけ、咥えタバコで次々に野球部員の首を日本刀で切り落として行く。

「せ、先生助けて!」

吉原は懇願した。股間から失禁した尿が水溜まりになっていた。


そこへ、ペッと咥えていたタバコを吐き捨てた。

「先生、何でも言うこと聞きます」

「何でも?本当に?」

「は、はい」

「じゃ、武器の説明書が合ってるか、一緒に確認してよ」

「わ、分かりました」

田辺は現場を離れた。

チャンスだ!吉原は右太ももに刺さった矢を抜き、立ち上がった。

すると、足元にアボカドみたいなモノが転がってきた。

手榴弾だ!吉原は、気付いたがどうにもならない。


バチューン


吉原は肉片と化した。

田辺は確認する事もなく、武器が保管されている場所へ向かった。

一応、気付かれないように、銃は持っていた。ジャケット内のホルダーに一丁忍ばせて置いたのだ。

今夜は、忙しい夜になりそうだ。

彼はウイスキーを飲みながら喫煙し、5人殺せた達成感に浸っていた。



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