第14話 三者三様の思い





「――み、美香さん!? 辞めてくださいっ」


 頭を下げ続ける美香さんの顔を慌てて上げさせ、大の大人にそこまでさせる程のお願いなのかと思い、背筋を正し、そのお願いの内容を詳しく聞かせて貰う事にした。


 ……真剣な空気の中発せられたその内容は、とても高校生になって1年と半月程の俺が解決出来るようには思えなく、想像の上を行く難しい問題だった。


「……という事よ……國満くん、私じゃ不向きというか、解決できなかったの……ごめんなさい、あなたに頼めるかしら……?」


 髪をサラッと前に垂らし黒奈瀬もこちらに頭を下げる。


「……黒奈瀬……」


 そんな彼女達の前、少しの間黙考し、考えを纏めると美香さんに改めて向き直り、己の固い意思に突き動かされ、決心し、決断を口にする。


「……ここまで頼まれて置いて、やりませんと言えるほど薄情な男には成りたくありませんしね……出来るか分かりません、でもこの件、俺にやらせて下さい」


「ありがとうね……」


「……いえ、まだやってみるって段階なだけですし、解決した訳じゃ無いのでお礼はいいですよ、美香さん」


「……國満くん……だいす」


「それにしてもクライネ・レヴィン症候群ですか……ん? 何か言ったか黒奈瀬?」


「まいる、100パー!」


 頬を紅く染めながらニカッと笑顔を魅せる黒奈瀬。


「……どうしたんだ……急にイメチェンですか……?」


「え、えぇ……」


 と言いそっぽを向く黒奈瀬。そんなに恥ずかしいならやらなければ良いのに……ちょっとドキッとしただろ……


 取り敢えず黒奈瀬の急な奇行は置いておいて、咳払いを一つして話を戻す。


「……娘さんの病気、あまり聞かない病名ですよね……眠れる森の美女症候群、通称にすると何となく想像つきますけど……」


「……そうね、取り敢えず状態を見てもらった方が早いそうね……着いてきて、二人とも」


「……あ、はい」


 俺たちに着いてくるよう促し美香さんは椅子を引き立ち上がったので、それに合わせ俺と黒奈瀬は着いていく事とする⎯⎯⎯


 ⎯⎯⎯リビングから出てすぐ隣、扉が開け放たれた広々とした部屋には、真っ黒なグランドピアノがポツンと鎮座していた。


 へぇ……一般家庭にグランドピアノって珍しいな、誰が弾いてるんだろ。

 ひょっとして美香さん音楽関連の仕事してたりするのかな?


 グランドピアノの珍しさも相まって美香さんの職業が気になりつつも、先程のリビングでの会話の中で、黒奈瀬の発言から気になる事を思い出したのでそれを聞いて見る事にした。


「……そう言えば、さっき黒奈瀬言ってたよな……? 不向きとか解決出来なかったって、確かに難しい問題では有るけど、何か出来なかった理由でもあったのか?」


「……そうね……今回で散々思い知らされたんだけど私どうやら……子供の扱いが苦手みたいなの……」


「……子供の扱い? って言っても中学一年生だよな、特別子供って程か? 女の子は特に大人っぽい考え方えを持つのが早いし」


「あの子と会って見ればわかると思うわよ、と言っても、起きるのはもう少し先だけれど」


「確か、起きるのは夜の24時ぐらいだったけ……さっきのスマイル100パーでも見せてやれば良いのに、子供だろうが誰だろうが一瞬で距離が縮まるぞ、黒奈瀬」


 ぐねっと途中でカーブしている広々とした2階への階段を上りながら、先程効力を体験させて貰った今後最強の武器に成りうるだろう全人類殲滅兵器を提案する。


「……ハァ……これで2525回目ね……」


「……なっ、黒奈瀬……そんな数この世界をループしていたのか……ん、という事はとんでもない数あのスマイル100パーを振り撒いてるんだな……そして俺は2525回もアレを前にしているのか……回数の意味の方は突っ込まないからな」


「えぇそうよ、今はやり直しをしている最中なの……でも、世界線αはもう駄目ね……」


「遂に世界線まで移動しちゃうの……何で未だに抜け出せて無いか謎なんだが……」


「でももう諦める事にしたわ……この強い因果を変えてしまったら一体どんなバタフライエフェクトが起きるか分からないもの」


「そうだな、それがいいな……俺もこの、世にも奇妙な体験は持ち越しておきたいからな」


「いやーあなた達の会話は聞いてて飽きないわねー……何言ってるかは全く分からないけど、……ほら着いたわよ、ここがあの子の部屋」


 美香さんはそう言って立ち止まると、ドアに『さつき』と書かれたボードが提げてある木製のドアをゆっくりと外に開く、そのまま「さぁ、入って」と、俺たち二人に入るよう促されたのでそれに従い部屋へと入っていく。


 そろそろ太陽が空のてっぺんに近づく頃、白のレースカーテンから陽光が漏れ出る部屋に入り、まず目に入ったのは、その白い光が漏れ出る窓際に、この部屋の基調となる色と同じくした空色のベッドの上の掛け布団の中、異国の血でも入っているのだろうか、銀色に近いプラチナブロンドの艶やかな髪を肩程までに伸ばし、閉じた瞼からは長いまつ毛を覗かせ、ゆっくりと、胸を浅く上下に動かしながら静かな寝息を立てている少女がいた。


 その場に存在しているのが自然で当たり前で、この場の空気と同化してしまいそうなその少女は、白く透明感のある肌にまだ幼さを感じさせられる顔、その髪色とも相まってとても儚げにすら見える。


「どう? 新タくん、ウチの子凄く可愛いでしょ? 良かったら将来のお嫁さんに貰ってくれても良いのよ? なんと! 今なら出血大サービスで私もセットでついて来ます!」


「……な、なんだって! ちょっと検討してみますね! 親父とも相談しないと行けませんし……いやぁ、どうしようかなぁ……美人親子揃ってお持ち帰りしちゃったら親父もさすがに驚くよなぁ……」


「……何故か新タくん呼びになっている美香さんには後でお話を聞くとして……國満くん? ……今なら、ななんと、季節限定品の黒奈瀬 墨音ちゃんも付いてくるわよ? さらに、直ぐに動かせる様にアルカリ乾電池も付いてくるわ、とってもお買い得ね」


 どの辺が季節限定何だろ……まぁ確かに何処かクールな感じが暑い季節と言うよりは今からの寒い季節って感じはするけど……あと何、アルカリ乾電池で動くのね君、良いよね、アルカリ乾電池、長持ちするし、割りと予備が家にあるし……うん、でも取り敢えずスルーしておくね、黒奈瀬 墨音ちゃん。


「深夜24時でしたよね、咲月ちゃんが起きるって、寝起きとかは良い方なんですか?」


 情報整理も兼ねて美香さんへ質問をしてみる。


「いけずね、國満くん」


「えー、そうねー……起きて直ぐは少しボーッとしてるけど、5分も経たずに直ぐにお風呂とか入りに行くぐらいには割と寝起きは良い方ね」


「へー、そうなんですね……寝過ぎると逆に体調悪くなったりしますからね」


「……そういえば、黒奈瀬は寝起き悪いよな、起きて直ぐはずっと天井眺めてるし、起きてきて朝食を食おうとしてもご飯ぼろぼろ口からこぼすし、ほんと、手に負えない」


「……? 新タくんは何で墨音ちゃんの朝の事情を知ってるの?」


「いえ、特別深い意味は無いです」


 しまった、黒奈瀬のご飯ぼろぼろ話をしたと思ったら誤解を招く様な事をぼろぼろと言ってしまった……まぁ、後ろめたい事がある訳でも無いので、特別隠す事でも無いけど。


「……あら……あの時の事は忘れてちょうだい……恥ずかしいじゃない……」


 と言って誤解の種になる様な事を振り撒くと、頬を赤く染め、まるでキャピレット家の自室からロミオの誘いに対しそっぽを向くかの様な名演技をしてみせるツッコミ待ちのボケお嬢。


 ったく……仕方ないな、しょうがないから少しだけツッコんでやるよお嬢。別にしたくてツッコミするんじゃないからな!


「黒奈瀬、こらっ、そんなあからさまに誤解の種を振り撒いてもこのツッコミ執事こと、國満 新タは肥料も水やりもしてはあげませんからね!」


「最近の若い子は早いわねぇ……うちの咲月も負けてられないわ」


「……あれ、誤解の種発芽した?」


「ふふっ、どうやら雨が降ったようね……人間、天地万象を完璧に把握する事は不可能ということよ……でもそうね、お天気お姉さんならいけるかもしれないわ……」


「……お天気お姉さんへの信頼厚すぎだろ……」


 ……というかそんな事はどうでもいいんだよ、えらい脱線だ……いや、違うな……黒奈瀬とする会話の中の本筋とのズレ具合は何というか、脱線というよりそもそも乗ってるレールが銀河鉄道って感じだ。ほっとくとそのままアンドロメダ目指して宇宙に行っちゃうから地球に帰れない。

 いやでも待てよ、今回銀河鉄道走らせたの俺か、車掌さんに発進命令出したのってひょっとして俺? 更に燃料となる石炭と水を積んだのも俺かな……少し自重しよう……出来るか分からんけど。


「ふふっ、こんだけ騒がしいと咲月もひょっとしたら起きてくれるかもね」


「あぁ、すみません……うるさくしちゃって……」


「良いのよ、今は主人も居ないせいか、この家はここ最近ずっと静かだからねー……少しぐらいうるさくした方が咲月も気持ちが沈まずに済むのよ」


「……ご主人は今海外ですよね」


「そうね、主人はふた月前ぐらいから、地元の人の伝手で咲月の病気に詳しい人を探して貰ってるけど……何処に行っても根本的な治療は出来ないと言われるそうよ」


「……咲月ちゃん、辛いでしょうね……症状を和らげる薬とかは無いんですか?」


「あるにはあるんだけどね……効く人と効かない人がいるのよ」


「……効かなかったって事ですか」


 重くなって来た空気を紛らわす様に視線を部屋に巡らす、学校の教科書類が詰められた本棚と勉強机、再び視線をベッドに戻して見るとさっきまで黒奈瀬の陰になって気付かなかったが、ベッドの直ぐ横、ベッドライトの置かれた机の上に咲月ちゃんの物と思わしき積まれた本が数冊、上からシンデレラ、不思議の國のアリス、ヘンゼルとグレーテル、一番下は……あれは……眠り姫かな……? どの本も原作では無く子供用に分かりやすく訳された物だ。



「咲月ちゃんひょっとしてグリム童話好きなんですか?」


「えぇ、そうよ、本は何冊か与えて読み聞かせてあげたけど、一番気に入ったのがグリム童話だったの」


 美香さんがそこまで言ったところで黒奈瀬が何かを思い出したように「そういえば」と口を開く。


「この中にある本は一通り目を通したのだけれど、この眠り姫の本……原本と違って眠り姫は王子のキスで目を覚ますわよ」


 と言いながら、黒奈瀬は手にした眠り姫の本の後半のページを開きこちらに見せて来たので見てみると、確かに綺麗な挿絵と文書からそう言う描写が見受けられる。


「ああ……そういえば原本の方はキスで目覚めないんだったな」


 ……で、それで……?


「新タくんも変なとこで鈍感ねぇ……咲月を目醒めのキッスで起こしてあげるのよ」


「ほら、國満くん、ひと想いにフレンチキッスよ」


「いや、おい……」


 ひと想いにフレンチキスは駄目だろ、起きた途端によく知らない男が唇舐め回してるって事だぞ……ショック死しちゃうぞ咲月ちゃん……


「そう言えば美香さん、咲月ちゃん勉強とかはどうしてるんです……? 病状的に学校にも通えないし、家庭教師も中々雇えないですよね」


「……勉強ね……病気が発症してから最初の内は家庭教師も雇ったりして頑張って続けていたんだけどね……今じゃもう、やっても意味ないの一点張りよ……」


「夜間学校のある所に引越ししようともおもったんだけどね、似たような理由と無理に環境変えても返って身体を壊しかねないからね……」


「そうですか……」


 ……仕方ないのかな……学校にも中々通えないせいで勉強について行くにも同年代の子達に置いて行かれ、学校行事にも参加する事は叶わず、そんな中必然、コミュニケーションの取り方が分から無いから友達を作る事も上手く出来ないだろうし……学校へ行く事が出来たとしても既に出来上がった環境に入る事は難しい。


 ……確かに、友達作りや勉強が出来る事は将来に必ず必要とまでは言わないが、そんな発想に至れるのは心身共に健康である奴だけの戯言だ。

 当たり前の物を持ち得ない事の本当の辛さは、例え他人が理解する事は出来ても、もっと根の深い部分は本人にしか分からない。


 咲月ちゃんの境遇を鑑みるに、その根の深い部分を伝えたくてもその伝え方が分からないのだろう。

 だから一向に成長する事の出来ない自分に対して嫌になり、人に頼らなければ生きて行く事の出来ない自分に情け無くなり、かと言って雁字搦めになった状況を打破する事も出来ないから諦める事しか出来なく、そんな現実が怖くて、逃げでもしなければ自分の心を護ることが出来ない……


 会話の途切れた中、そんな思考を悶々と巡らせていると、隣に立っていた黒奈瀬がフッと身を屈め、ベッドに眠っている咲月ちゃんの瞼に掛かった綺麗なプラチナブロンドの髪をサラッと横に流して、まるで壊れ物でも扱うかの様にそっと優しく頭を撫でる。


 黒奈瀬はそうやってしばらく撫で続けていると、ゆっくりと俯き。溢れ返って抑えきれなくなったビーズを零すみたいに、悔やみの言葉を咲月ちゃんへと落とす。


「ごめんね……咲月ちゃん……救ってあげたいけど……あまりうまく出来なくて……」


「墨音ちゃん……」


 そんな何処か何時もよりも小さくなった背中を見て、美香さんは自分の娘を大切に想っていてくれる黒奈瀬に対し、迫り上がって抑えが効かなくなった気持ちを名前に込めて、暖かく重たい声を床へと落としていた⎯⎯。





         ⋆☾·̩͙꙳‎✩





 そんな感じで、咲月ちゃんの状態を見せて貰った後、一度三人とも部屋から出て、得た情報を頭の中で整理しつつ、今日は学生なら皆大好き土の曜日、二日休みの初日という事で泊まり込み、咲月ちゃんが起きてくる夜の24時までリビングで待たせて貰う事となった。


 もっと詳しい状態は夜にならないと分からない事だしな。


「二人ともー、夕食はうちで食べるでしょ? 何かご要望がありましたら承りますよ?」


「え、本当ですか! 遠慮はしませんからね。ふむ、そうですね……何か肉料理……そうだ、肉じゃが作れます!?」


「おっ、新タくん、良い所つくわねぇ、その家の家庭料理を味わうなら肉じゃがは欠かせないわ、ほら、分かりやすいお袋の味ってやつよ」


「そうなんですよ、肉じゃが最高! お袋の味最高!」


 ……お袋居ねーけど。


「美香さん、私も手伝うわ、それと國満くんの母親はもうこの世に在住していないわよ」


「……え、あら……ごめんね、新タくん」


「い、いえ……お気になさらず……」


 ……ズーンと、空気中の酸素やら窒素やらの流れが止まったかの様な硬く重たい空気。


 そんな時間停止の空気に陥らせた大戦犯に対して、「ちょっとぉ……どうしてくれんのぉ……黒奈瀬ぇ……」と殆ど言葉を息にして咎めつつ、重たくのしかかった空気を跳ね除ける様に努めて明るい声を出す。


「俺!! なんかいる物買って来ましょうか!? 食材とか買ってきますよ!! 男手は俺だけですしね!! ドンと任せて下さい!! 直ぐにでも! 駆け足で!! 最寄りのスーパーにでも行ってきますよ!! これでも料理、割と出来るし買い物も得意なんですよ!! お買い得商品厳選して来ますね!!」


「國満くん……必死ね……」


「黒奈瀬ぇえっっ!!」


 そんな残念で憐れな人を見るような目を向けるな、同情するなら数分前に時間を戻せ! 一体全体誰のせいだと思ってるんだこの馬鹿ちんが。


「あ、あら、……そう? じゃあ任せちゃおうかしらね……その間にご飯炊いたり他の準備しとくわね」


「ええ! 任せてください!」


 思わず反射的に返事をした俺を見てから美香さんは手近にあったバックから財布らしき物を取り出して一枚の、桁数が一番多いお高めのお爺ちゃんを取り出す。


「ほら、墨音ちゃんも言って来なさい、これお金ね」


「こ……これはこれは、有り難く使わせていただきます」


 高校生からしたらこの金額は家でも建てようかと思えるぐらいにとんでもない額だったので、手をプルプル震えさせながら受け取ると慎重に折りポケットへと仕舞う。


「ほら、行くわよ國満くん」


 言って、そそくさと支度をし始める自由気ままな黒奈瀬さん。ふと美香さんに視線を送るとクスクスと笑っている。


「どうされました……?」


「いやね、今日見てて思ったんだけどね、墨音ちゃん前まではあんなに喋るような子じゃ無かったのよ」


「……えぇ……? 嘘ですよね……? まぁ、確かに最初はそんな節があったような気がしなくもないですけど、アイツ会った時から結構お喋りさんでしたよ」


 今までの黒奈瀬からは考えられない事実を知らされてちょっとばかし驚いてしまう。


「本当よ 、あんなに楽しそうにして……きっと新タくんと出会って変わったのよ」


「そうですかねー、だとしたら悪影響じゃないと良いですけど」


「何言ってるの、そんな訳無いじゃない」


「……咲月の事、改めて……よろしくお願いね」


「美香さん、随分と買い被ってますね……けどまぁ……出来る限り尽力するつもりですけど……それに……」


 黒奈瀬の背中をぼんやりとみる。


「それに……?」


「いや、何でもないです、行って来ますね」


 首を振り、思考を切り俺は玄関へと先を行く彼女を追いかける。


「おーい! 黒奈瀬さーん! ちょ、ちょっとぉ、え、どこ行った? 置いていかないで!!」


「気をつけて行って来なさいよー!」


 何処かへ旅立ってしまった自由奔放なお嬢の背中を追うツッコミ執事から格下げされた哀れな召使い。

 梓川 美香はその背中を見送りながら⎯⎯


「そう言えば彼ってよね、……だとしたらこう言うのは早いかも知れないけど、新タくんに咲月を任せて良かったわね……」


 と、小さな声で彼への期待を言葉にした。


「……お、お待ちくださいお嬢様! 忘れ物は御座いませんか!?」


「忘れ物? そういえば……下着……」


 そう言いつつ、スラッとしたバストとピップを触るお嬢様。


「……え……?」


「嘘に決まってるじゃない、そんなに火が付いたように顔を真っ赤に染めちゃって、今日の私の下着の色とお揃いね」


「ええっ!? おそろなの!?」


「ふふっ、でも見せないわよ、こう言うのは見えないのが嗜好なんでしょう?」


 スカートの丈を片手でチラッと捲る黒奈瀬お嬢。


 俺は両手をポンとひとつ。


「確かに!!」


「……あれ? ……任せて大丈夫だったかしら……」


 そんな良いのか悪いのか分からない影響を与え合う二人を見て、何故か微妙に後悔が募る美香さんだった。












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