「こんにちは、過去のヒト」

平良佳子

1日目

第1話

昭和72年。天皇サマが偉く長生きでいらっしゃる。腸に病気を抱えられたと言われていたが手術は成功、80うん歳になられた今も皇居内で仕事をされているというからすごいものだ。

なんでもとある名が知れていない外科医がたった5時間で治したって言うもんだから、当時はその外科医へのマスコミ殿が集中した。

がしかし、宮内庁はどの医師だったかなど全て不問とすると伝え、週刊誌が黙っているわけなく突っかかっているそうだ。それがたしか6、7年前?なのに未だに尻尾すらつかめず、土曜日の学校が終わって帰って来た時のワイドショーなんかは「気になりますねー」とか笑いながら話している。

僕はカップラーメンを片手に観ているとテレビの画面が消えた。


「あ。母さんお帰り。」

「へいへいただいま帰りましたよー。てかまたカップ麺食べてんの?飽きないねー。」


まあ確かに。これでもう週4だ。


「母さん仕事してるし、僕がご飯自分で作れないの知ってるくせに。」

「何よー。お金置いてってるんだからマックとか行けば良いじゃん!」

「また若者言葉使って。少しは母親らしくしてよ。」

「しょうがないじゃん!クラブで働いたらこうなるってー。てか寝るねー。敦久(あつじ)は今日塾??」

服を乱雑に洗濯機に入れているのが見える。まあそりゃあ集合住宅だし狭いから見えるのは当たり前だけど、15歳になる僕にはちょっと...。

キャミソールとパンツだけの状態でカーテンも閉めずによく恥ずかしくなく室内歩けるなと色々な意味で感心できる。


「まあ、5時から7時まで。」

「じゃあ入れ違いかー。じゃあねー。」

「はいはい。」


自分が眠りたいからってテレビ消さなくったって良いじゃないか。2DKで僕にも部屋は一応あるからそっちに移動するか。

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