第5話 冒険者ギルドにて

 「お願い致します‼️何卒王都までご同行を‼️」

 さっきから平身低頭されてます。

 ギルマス……冒険者ギルドで1番偉い人に、だ。

 「なんで?」

 「それは‼️あなた様が倒したオーガが、魔王種だからです‼️」

 魔王種だと、同族のオーガ以外にもゴブリンだったりコボルトだったり、多様な魔物を率いて人族国家に攻めてきたりもするらしい。

 「あなた様は英雄です‼️」と、ギルマス。

 『あなた様』、ね。

 イオは初対面の時、しっかりと名乗った。

 名前を伝えた相手を『あなた様』呼ばわりとは、つまり彼はなめているのだろう。

 イオは普通の6歳ではない。

 中身は16歳。

 JKなめんな。

 黙っているイオに、あと一押しとでも思ったのだろう。

 「それにオーガの上位種となれば、うちのギルドでは資金が足りません‼️王都まで出向いて買い取って貰う必要が‼️」

 「じゃあいいや。」


 「じゃあいいや。」

 「は?」

 素っ気なく言えば、想像の展開とはならなかった、ギルマスがポカーンと目を見開く。

 「金にしないと勿体ないと思っただけだ。そんな面倒ならいらない。」

 言い切ってイオは立ち上がる。

 ギルドの奥の、応接室から出ようとすると、

 「お待ち下さい‼️あなた様‼️」と、性懲りもなく大声で止めた。

 「あなた様、ね。」

 「はい?」

 「オレ、さっき名乗ったよね。ちゃんちゃらおかしくて、小僧の名前なんか呼べないか?バカにしてるよね。」

 「???」

 痛いところを突かれたのか?

 黙り込むギルマスにあえて聞く。

 「そう言えばこれは売れるかい?」

 懐から出したのは、自分の銀髪だ。

 見た途端ギルマスの目が輝く。

 見る人が見れば分かる。

 イオの髪には全属性の魔力が染み込んでいるので、これ以上ない触媒なのだ。

 ギルマスが手を伸ばす一瞬前に‼️

 「欲しそうだからやらねぇよ。」

 髪を魔法で燃やしてやった。

 燃え落ちていく髪を見ながら、少年はほくそ笑む。

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