真面目女子の恋愛フラグ

@saku-ride

第1話 手元に届いた勝負下着

 桜井明日香は、小包を開けて呆然とした。中には、色とりどりの下着が入っていたからだ。

 仕事を終えて帰宅したら、まるで見計らったかのように宅配のお兄さんがやって来た。差出人は会社の同期である鈴木知美だ。研修旅行で仲良くなって以来、ずっと親しくしている。今は絶賛産休中のため、この間明日香は出産祝いを送った。そのため、内祝いかなと気軽に開けたのだが……。

(なんで下着? しかも、上下セットで五組もある)

下着と言っても、いやらしいものではない。色味もコーラルピンクやアイスブルー、ラベンダーなど可愛らしいパステルカラーだ。最初の驚きが去ると、レースやリボンの美しさに心を惹かれ、ビニル越しにまじまじと眺める。

(すごい……。レースもバラだったり、お花をかたどってる。こっちなんて、リボンの真ん中にパール!)

 普段シンプルで地味な下着を身に着けている明日香は、繊細で美しい下着を間近に見るのが初めてだった。思わずうっとりと観察する。

(いや、それより知美に何のつもりか聞かないと)

 我に返って、手元のスマホでメッセージを送る。しかし、相手は赤ちゃんが生まれたばかり。すぐに返信は来ないだろうと、先にシャワーを浴びることにした。

 短いバスタイムを終え、明日香は冷蔵庫からビールと、昨日の残りの和風回鍋肉を取り出した。春キャベツが安かったため回鍋肉にしたのだが、いつも同じじゃつまらないと、昨日は白だしを入れてみた。それが大正解で、味噌の甘味がさっぱりとまとまって、ビールが進む。明日香は、晩酌を楽しみながら、スマホで映画を流した。明日香は映画が好きなため、映画が見放題になる動画配信サービスを利用している。

(あ〜、幸せ)

 仕事を終え、ビールを片手に好きな映画を観る。明日香が最もリラックスする時間だ。季節は初夏で、気温が高くなってきているため、ビールがより美味しい。

 幸せに浸っていると、スマホが着信を告げた。相手は知美だ。

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