第10話 相手の本心を聞きたかった

『下駄箱にある君の靴にくっつきたい』10話

中学3年の秋、文化祭の前日に周りは文化祭の準備をしていた。その日、南礼司は周りが文化祭の準備を終え、帰路に着く頃に彼は校庭にでっかく白線で『生徒会長は彼女のことを愛してはいない、嘘つき』と書いた。

彼は小さく呟いた。

『嘘つきが好きなんて吐くからだ』

朝になり、校庭では人だかりができていた。

それは、南が書いた言葉に人だかりが出来ていたからだった。

その人だかりをかき分け、ルーカスがそれを見て笑った。

ルーカスは結衣がいる前でみんなに向けて話した。

『みんな聞いてくれるかい。これは半分くらいは本当のこと。僕と結衣はビジネスカップルで、今まで誰とも僕は付き合ったことがなかったから、結衣と付き合った。でもまだ初めてのキスは迎えていない。生々しい話でごめんね。それから、僕は嘘つきじゃない。みんなだって知ってるだろ。僕が真面目だってこと』

そう話すと周りから歓声が上がった。

そして周りが言う。

『ルーカスこそこの学校の代表だ。彼が嘘つきなわけ無いじゃ無いか』

ルーカスは笑って言う。

『ありがとう』

そんな彼の会話に南は余計に苛立った。

彼の心の中はモヤモヤばかりが募っていく。

彼は心の声が漏れ出てポツリと言った。

『嘘くさい言葉で相手を駒のように扱って、本当の自分くらい出せないのかよ。余計にこっちが惨めになる』

そんな様子を見ていた南の友人の蔵田雄大が彼に声を掛けた。

『南、どうしたんだよ。お前らしくないぜ。あいつは確かにすかしててタイプ的にあんまり俺は友達になりたくないタイプだけど、最近のお前変だぜ。ルーカスと山地に何か恨みでもあるのかよ。何かあるなら話聞くぜ』

南はそう言う彼に言った。

『俺の悩みがお前に分かるのか?一生考えたって、無理無理。そろそろ文化祭が始まるし、行くよ』

蔵田は南にそう言われて、余計大丈夫だろうかと気になってしまった。

校庭に引かれた白線はルーカスが先生に言い、消してもらった。

生徒が準備した文化祭が始まった。

南は女子から人気で『南くん、南くん』と周りの女子が寄ってくるのを避けるため、人が少なそうな場所に入ったのだった。

それが暗闇相席糸電話という喫茶店で、自分がどういう自分か言わずペンネームを相席者に言い、仮面を被り、知らない相手に秘密を打ち明けると言うものだった。

南は仮面をつけ、相手にペンネームのしじみと名乗り、着席した。南の相手はまさかのルーカスの彼女である山地結衣だったのだ。

彼女は堂々と生徒会長の恋人と南に伝え仮面を被っていたのだった。

秘密を明かす時間は5分、5分後に席を入れ替えるという設定だった。


さて、5分の間に山地結衣と南礼司は何を話すのだろうか。

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