第34話 マキアスと王女の力で機械兵を圧倒する

 古代兵器機械兵の圧倒的な強さに、ピンチになりつつある僕ら。その決戦の戦場に王女のパンツが大量に舞っている。


「………」


 緊急事態であることだけは間違いない、いや古代兵器が出現してすでに緊急事態だけど。

 そしてその古代兵器である機械兵2体が再度動き出す。当然ながらこちらの混乱に乗じてさらに激烈な攻撃を繰り出してくるのだろう…と。


[シヨウズミノヌノヲタスウハッケン! キケンブツハンベツノタメ、キュウカクハツドウ!]

[クンクン、クンクン、クンクン]


 なぜか機械兵はクンクンと空を舞うパンツを追いかけ始めた。


 そして、リーナが言葉にならない叫び声を上げまくっている。


「いや、どういう状況? これどういう攻撃!?」


「なにやってるんです! 機械兵A、B! そんな王女のパンツなんてどうでもいい! 目標をさっさと始末せよ!」


 フードの男が苛立ったように機械兵に指示を出している。

 なんか、機械兵2体は宙に舞うリーナのパンツに夢中だ…。

 こ、古代兵器てセクハラ攻撃もできるのか…恐ろしい。


[サー! シレイカン! シヨウズミパンツノオソレアリ!!!]

[サー! シレイカン! ゲンジョウノ、サイダイノキョウイ、サー!!!]


「だから! そんな王女の使用済パンツなどどうでもいいのです! さっさと目標を…」


[サー! シレイカン! シヨウズミパンツ! ブンセイキサイユウセン! サー!!!]


 おい、使用済みパンツとか口が裂けても言っちゃダメなセリフだぞ! 変態フード男になるぞ! あとサーの声、今までで1番デカいし!


 リーナが凄まじい勢いで駆けつけてきて、僕の両肩をがっしりとつかみながら、真っ赤な顔で僕を揺さぶりつつ涙目でうったえてくる。


「ちょ、マキアス! なんとかしてぇ! 早く回収して! マキアスは見ちゃだめ! 見たら責任とって!  こいつらなんとかしてぇ~~~」


 だめだ完全に混乱している。しかし、リーナのためにも回収しないと、これは王女、というか女の子として絶対に守らないとダメだ。のちの人生にかかわるぞ。


「り、リーナちょっと落ち着こう。ちゃんと回収するから安心して。危ないからいったんさがって…」


「ちょ、そこの機械人形なにする気! 返しなさいよ!」


[キュウカクデハ、ハンベツフノウ、トウブニソウチャクシテ、ブンセキ、ユウコウト、ハンダン]


 あろうことか、1体の機械兵がパンツを被ろうとしている…

 なにやってんの…まじで…例え超古代兵器だろうが王族着用物不適格使用罪とかで極刑にされるぞ…


 その時なにかブチブチって音が近くで聞こえた

 …う、嫌な予感しかしないぞ。血管の音じゃないよね。


「この変態機械人形―――――――――!!!」


 リーナのタイキックが機械兵に炸裂する。手早くパンツを回収すると、もう一体の機械兵にかかと落としを見舞っている。


 これはやばい! ブチ切れてる! 王女怒らせた! 

 僕は風力創成でほかの物を一瞬で回収した。おそらく今までで最高速度を出せたと思う。


 羞恥にまみれた王女は仁王立ちで、機械兵たちを睨みつけている。そして機械兵をビシッと指さして声高らかに宣言する。


「女性の敵! マキアス! こいつら絶対許せないわ!」


「そ、そうだね、リーナ危ないから後ろに下がって、ちゃんとライトシールドも展開してね」


 リーナを後ろに下がらせて、仕切り直しだ。なにせ僕らは未知の脅威と戦ているはずだから。

 リーナに蹴りを入れられた機械兵はやはりダメージを負った様子はないが、額が赤く点滅し始めている。なんだろう?


[サー、シレイカン、ホウコク。 サキホドノコウゲキニヨリ、イジョウハッセイ、シールド、カンゼンショウシツ]


「な、なんだと! シールド消失!? ばかな! あんな小娘の攻撃でですか!? まさか王女が展開しているのはライトシールドか…ということはシールド無効化スキルを習得している可能性がありますねぇ。ますますこの場で全員始末しなければなりませんねぇ」


 なんだ? フードの男が今までにないぐらい焦った声を出している。


『マキアス様! どうやらリーナの攻撃が機械兵のシールドを無効化したようです! 今がチャンスです!』


 え? そうなの? 凄いなリーナのタイキック!


『マキアス様! 先ほどのパンツ…じゃない…戦闘でポイントがたまりました、新しいコードが発動できます!』


 おお! 久しぶりに新しいコードだ!


 □-------------------------------


【万物創成コード】


「火力創成」


 ☆火を生み出す

 ・火力の調整可能


 □-------------------------------


「機械兵A! 新しいコードを使用させるまえに攻撃しなさい!」


[サー! シレイカン! ダゲキコウゲキカイ……アレ?? サー? オレノアームガ ナイ……]


「うぉおおおおおおお、熱い!! けど凄い!!」


 即時スキル発動させた僕の体から、凄まじい炎が巻き上がり始めるた。どんどん大きくなっていく。目の前にいた機械兵が僕が生み出した火の海に巻き込まれていき、銀色のジュースみたいに溶けていく。


[サー…シレイ…スベテショウシツ…ギー…]


「き、機械兵B! 榴弾砲発射しなさい! 早く!」


 フードの男が後方にいるもう1体の機械兵に慌てて指示を出すも、僕は炎をまとったまま全速力で間合いを詰めた。


「火炎一刀速断――――――!!!」


【火力創成】で炎の塊になった体と僕の最速の剣技である「一刀速断」のあわせ技を機械兵に全力で叩き込む。


 機械兵Bは、音もなく綺麗に真っ二つに割れて地面に崩れ落ちた。


「ば、バカなぁああああ…。 いかにシールドを喪失したとしても、アダマンタイト合金の機械兵を剣などで一刀両断などあり得えん!」


「『当たりまえよ! マキアスは凄いんだから!』」


 リーナとエレニアの2人がフードの男に仲良くハモりながらビシッと宣言している。しかし相当に手強い相手だった。古代兵器ってすごい。


「ふう、とりあえずこの火力は強すぎるからいったん解除してと…ん? エレニア? 解除だよ??」


 何故か僕の周りの炎がさらに大きくなっていく。


「人間が機械兵を圧倒するなど、かつての大戦期の上級コード使いどもならまだしも、現世にこんな奴がいるなど完全に想定外ですよ…」


『マキアス様! 火力を抑えられないっ!! このまま火力があがると危険だわ!』


「ははは、私がコードに干渉して誤情報を与えていますからねぇ、制御不能状態というやつですよ。ふふふ、このままその強力な火力を暴走させなさい。王女を巻き込んで自爆とは笑えるオチですねぇ」


 フードの男は僕らから徐々に距離を広げながら、後退しはじめた。


『そんなことになるわけないでしょ! マキアス様は世界を救う方よ!』


 エレニアの叫び声をあげると、僕の体が光を放ちはじめ同時に人影が現れる。


『あなた、大戦の生き残りね、決してあなたの思い通りにはならないわ!』


 僕とリーナは同時に声をあげた。


「「――――――だれ!?」」

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