ニートがバレたあの日から私の人生は変わった

芹沢ジュネ

第1話 ニートの日常、そして、危機

「んー、何時だ?13時か。いつもよりちょっと早く目 覚めたな。(昨日ゲームして寝落ちしたんだ)うっわ、ポテチのカスが…。コーラこぼれたままだし。まぁ、いつものことだよね。寝よ。」


3時間後ー


「腹減った〜。そろそろなんか食わないと死ぬな。」私はカップラーメンをすごい勢いで食べた。


「はぁー生き返った。」








私、花宮優姫は名前の通り、美人で、大豪邸にイケメンな王子様と悠々自適な生活を送っている…はずもなく、見た目は地味で、1Kの狭い部屋に一人暮らし、独身、28歳、もちろん処女である…。というか、ニートなのである!ニートに誇りを持っているのではない。自分がニートだということに慣れてしまったのだ。とりあえず、私の今までの人生をザッと説明しようー。




28年前、至って庶民的な家庭に四人めの子供として生まれた。ちなみに兄、姉、姉、である。まあ、そしてかなり飛ばすが、小学4年生までは至って普通の子供だったのである。しかし、小学4年生の時、私は悟った。自分の名前と顔が合っていないことをー。


なぜ、こんな庶民の親が自分にこんな名前をつけたのか、と聞くと母は軽く、「優しいお姫様のようになってほしい」からよ。と答えるのみだった。それからというもの、どんどん吸い込むように世界のカラクリを悟っていった。この世の中は見た目で人を決めつける。そう気づいた時から、が私は生きる気力を失っていった。別に、派手にいじめられた事はない。名前と顔が合わないことを陰口言われたことは何度もあるが。


そうして、まぁ、今に至る。え?説明が足らないって?まぁ、いいの。いいの。おいおい話すって。ってことで、ゲームするんで!






ご覧の通り、寝る、食べる、ゲームのサイクルである。








翌日ー


ガチャ、


「おはよう、優姫?」


クーカークーカー


「まったく、もう。優姫ったら。仕事で疲れてるのね。」


15時、起床と同時に衝撃が走った。目の前に母親がいるではないか。


「優姫、起きたのね。仕事で疲れてるんでしょ?ほら、ご飯作ったから食べなさい。」


なんということだ。母親が私の家にいる。言っておくが、母親には働いていると言ってある。そうじゃなきゃ、一人暮らしなんか許されないから。


私は焦った。とても焦った。


ーそうか!今日は土曜日か!なら安心だ。救われた。


「お母さん、来るなら言って!びっくりするじゃん!」


「全然連絡くれないから心配して来たのよ?ちょっとくらい連絡よこしなさい?」


「わかったよ。で、用はそれだけ?」


「冷たいのね。そうよ。」


「じゃあ、ご飯食べたら帰りなよ。」


「…わかったわよ。(きっと彼氏とデートでもあるのね)じゃあ、お母さんは食べたら帰るわね。」






その夜もいつも通り寝落ちするまでゲームをするつもりだった。


しかし、またしても衝撃が走った。


一本の電話がかかって来た。


一番上の兄からだった。


「おい、優姫!お前、おふくろに怪しまれてんぞ。」


「怪しまれてるって、何が?」


「だ、か、ら、働いてないんじゃないかって、あやしまれてるぞ。」


「は?うそでしょ?」


どうして?私は完全に騙せてるはず!


「どうすんだよ。もう正直に言えばいいじゃないか。どうせいつかバレるぞ。」


「何言ってんのよ、そんなことしたら、お母さん心配するじゃない。」


「あのなぁ、お前何考えてんだ?いつまでもいい子ぶってないで、素直になれよ。」


「お兄ちゃんに何がわかるっていうの?」


「…っ、お前な…」プツッ


危ない、取り乱すところだった。

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