第2話 異世界散策

 凡人の喜志星誠は家の前に突如現れた魔法陣に吸い込まれ異世界に来てしまった。正確にいうと異世界転移。持っていた荷物もなく手ぶらだ。困った……。


「とりあえず歩いてみるか」


 ポジティブすぎる誠。と思われるが俺はそんなにポジティブではない。ネガティブでもない。ここも普通。メンタルも普通。そう。全てにおいて普通なのだ!


 ヒュー……


 またしても風が吹きやがった。許さん!


「宿ないなぁ。あっ、宿は無理だ。お金ないもんなぁ」


 つまり俺は無一文だということだ。終わったよな。知らない場所に急に転移させられちゃってさ。おかしいよね?そう思わない?……そうでもない感じ?まぁ、いいや。ってか人いないの?


「おーい! 誰かいますかーーーー!……って、無理があるよな。こんな野原が広がった場所というか森なんかでさ」


「呼んだ?」


「おわっ! 誰だよ! いきなり現れて来んなよ!」


 叫んだら誠の上からちっこいのが、真っ逆さまで覗き込んできた。人間ではなさそうだが、例えると小学生サイズでフヨフヨ浮いてる。ってか、真っ逆さまで覗かれたら心臓飛び出るよ! 何すんだよ!


「お前誰?」


「ん?俺はエルフセリア・フライハイト・シェルム・アナグラムだよ」


「なげぇよ!……じゃあエルフでいいか?」


「適当でいいよ」


 適当でいいのかよ! お前の呼び方一生それになるんだぞ!……さっきから叫んでばかりでめっちゃ疲れた。


「ひとつ聞くけどさここ何処?」


「お主が思っている通りだよ。ここは異世界」


 そこは分かってるんだけどさ……。しかも今夕暮れに近いから早いところ寝れる場所見つけたいし……あっ!そうだ。


「ここら辺にさ寝泊まりできる場所ない?」


「うーん……あったかなぁ?」


 いや、無いとマジで困るんですが……。コイツいつも何処で寝てんの?気になるわぁ。そして数秒……いや数分経ちようやくエルフが思い出し口を開いた。……おせぇよ!


「おっ! 思い出した思い出した! 近くにゴブリン村があるのを忘れてた」


「ゴブリン村?」


 異世界マンガでよく出てくるのがゴブリンだよね。定番だしね。ゴブリンは。


「そこなら泊めてくれるだろう……てか、ゴブリン従えて住んじゃえば?」


 コイツ今なんて言った?いやいやいや、俺に従える力なんてないからね?勘違いしてるよね?


「無理があるでしょ。じゃあ、ゴブリン村に向けて出発!」


「あい、待った」


「グエッ!」


 首絞まる絞まる! なんなの?! マジで?!


「もうすぐ夜だから近くにある洞窟に今日は泊まろう」


「……洞窟?」


 へぇー、洞窟なんてあるんだ。だったら先に言えよ!このヤロー。こうして俺とエルフは洞窟に向けて出発した。


 

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