死にたくない、生きたい

えっと 自分は死にたい

生きていても どうにもならないような気がしてきた

じゃあ死のう、に思い至れないのが私

だめなやつだ


「いいや。死ぬのは全ての終わりだよ。死ぬのだけはあかんわ」


だれ?

ここはマンションの高層部屋だよ 来られるわけはない

幻聴か ついに私はおかしくなったか


「そうじゃないんだよ。君は折角色々楽しい生き方をしようとしていたのに。勿体ないな 死ななくていいから、俺の事を見ろよ」


見て何になるのよ


「君にいいことあるかもしれないぞ」


何を言っているんだ


私はそっと、その人の事を見てみる

何やら側の窓から聞こえる声の様だ

声色は、少年のもの


そっと、覗いてみる


「やあ。お姉さん。迎えにきたよ。」


少年だったが 何かおかしい


雰囲気が妙だ


先ず、肩に透明のローブを纏っていて まるで幻想世界の少年の様だ


「じゃあ、行こうか。」


え、どこへ?


「素敵なところへ。さあ。この手をとって。」


少年は手を差し出してくる

この手を取ればいいの?


私は少年の手を取る


「それでは」


その瞬間、少年の顔がニイッと不敵に笑った


何っ?!


すると体が軽くなった

まるで空気の様に軽くなった

しかし心地は悪くはない


「お疲れ様。お姉さん。君は不治の病を背負っていたのだけれど、それからもう解放されたんだ。自由の身だよ。」


ええ、つまり


私は


死んだだろうか


「そうだよ。お疲れ様。お迎えにきたよ。これから素敵な世界へ行こう。」


ええ。私、闘病を頑張ったけど、遂に楽になったということね、、、。

あまり楽しいと言える人生ではなかったのかもしれないけど、私としては楽しかった。


死にたいと思ってはいたけど、実際にこうして死ぬと、、、、、、


、、、、、、、。


「どうしたの?」


ううん。何か、もやもやするような気もするけど、何でもないわ。ありがとう。さあ、行きましょう。


「やり残したことがある?」


うん。何だか、そういう様な感じの気が


「気にしなくて大丈夫だよ。お姉さんは、よく生きたよ。」


ええ。ええ。


私は少年に連れられて何処かへ連れていかれる

いい世界、か


暫く飛んでいると、何やら物々しいものが見えてきた


「さあ、あそこだよ。」


やがて見えてきたそれは


轟々しく燃え上がる、炎


いやっ!


「おっと。」


少年が私の手を掴む


「駄目だよ。お姉さんは  地獄行き  なんだから」


じ、じごっ、、、


「そうだよ。お姉さんは生前、余りにもその性質で人へ悪事ばかりしてきた。怒りのあまりで人へ物を投げる、反省なし。死んだ人の香典を盗む、何人もの異性を裏切る、ウェブ上に人の住所を何の意味もなく載せる、物を盗む、色々あるじゃん。前科が。」


私は何も言えなかった


全て私がやった


私は流されるまま

あの赤い世界へ連れて行かれた


END

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る