第9話_第4エリア

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 009_第4エリア

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 スマホを見ると、午前5時前だった。そろそろ畑のお世話があるから帰らねば。


 ステータスを開いてスキルを取得。


 チャタを抱き上げて、スキルを発動させる。

「転移!」

 いくつもの光る幾何学模様が俺の周りを囲むと、一瞬で家に転移した。転移は一度行ったことがある場所か、見える範囲に転移できるというスキルだ。


 こんなに便利なスキルなのに、★4だから4ポイントで取得できる。

 スキルは進化させると結構なポイントが要るけど、最初はそうでもない。また、個人で取得できるスキルに差がある。俺が持っている質実剛健はチャタの取得可能リストにはない。逆にチャタが持っている疾風迅雷は俺の取得可能リストにはない。この転移もチャタの取得可能リストにはなかった。


 ウチは玄関が広く、土間になっている。そこでチャタの鎧を脱がし、俺も靴を脱いで上がる。

 着替えてカロリーゼリーを食べ、チャタにドッグフードと水を出す。


 ちょっとだけ休憩して外に出る。すでに朝日が昇っていて、やや重たい夏の朝の空気を肺いっぱいに吸い込む。

「地上の匂いだ……」

 ダンジョンの空気とは何かが違う。何が違うのかは、分からないけどね。


 畑仕事を始めると、ほどなくしてお隣さん(100メートルくらい離れている)の藤ノ木とうのきのお婆さんがやってきた。

「おはようございます」

「はい、おはよう。今朝も精が出るね」

「せっかく育った野菜たちですからね」


 自分で育てた野菜は美味しい。

 すくすく育っているのを見るのも楽しい。俺、農業に向いている気が、最近はしている。


 藤ノ木のお婆さんに色々教えてもらう。祖父が死んで放置された畑の面倒を主に見てくれていたのも、この藤ノ木のお婆さんだ。


 昼前に農作業を終えて仮眠しようと思ったら、4時間くらい寝てしまった。

 ご飯が遅くなって、チャタがちょっと不満げだ。

「すまん、すまん。すぐにご飯にするから」


 遅い昼食を食べて、準備したらダンジョン内へ転移する。第3エリアのボス部屋から第4エリアに入ったところに出た。

「チャタ、準備はいいか」

「アン!」

 任せておけと、言っている。頼もしい相棒だ。


 第4エリアは剣を持ったウッドマンソルジャーだ。

 ウッドマンソルジャーの攻撃は、チャタに掠りもしない。もちろん、剣聖に至った(取得した)俺も余裕だ。

 あまりにも余裕過ぎて物足りない。


「ほう、そういう対策をしてきたか」

 俺の心の声を聴いたのか、ダンジョンさんはウッドマンソルジャーをうようよと出してきた。20体は居るだろうか。


「だが、それでは足りないぞ。チャタ咆哮だ」

「アン。アオーンッ」

 ウッドマンソルジャーたちがピタリと止まった。


「亡者を焼く地獄の業火よ、不純なるものを全てを飲み込み灰塵をも残さず燃え盛れ。獄炎の舞!」

 詠唱が必要な獄炎魔法の時は、チャタの咆哮がとても役に立つ。


 業火のヘビがウッドマンソルジャーたちを飲み込んでいく。高威力の範囲攻撃があると、楽でいい。

「アンアンアンアウン」

「戦闘経験を積んだほうが良いって? このダンジョンを10日で踏破しないといけないから、こういう雑魚はまとめて焼き払っていいんだよ。その分、ボスで経験を積ませてもらうから」

 チャタを納得させて消え去ったウッドマンソルジャーからドロップした黄色のアイテムボールを拾う。


 ボスからアイテムボールは100パーセントドロップだけど、雑魚からあまりドロップしない。

 黄色だからそこまでいいアイテムではないと思う。砕かずに極アイテムボックスに放り込んだ。後からまとめて砕こうと思う。


「しかし、このダンジョンはどれほどのエリアがあるんだろうか?」

 まさか100エリアとかじゃないよね? それ、物理的に10日で踏破は無理だから。


 第4エリアのボス部屋前。扉の絵は、盾と剣を持ったウッドマン。多分、騎士じゃないかな。


 休憩しながらステータスを確認。レベルは166まで上がっている。ポイントも溜まっている。俺はステータスポイントを振った。

 チャタもステータスポイントを振り、さらにスキルを伸ばすことにした。


 チャタが元々持っている牙爪強化★1を、被堅執鋭ひけんしつえい★1に強化。3段階進化させたことで、スキルポイントを49ポイント消費した。

「さて、ボスを倒すか」

「アン」


 扉を開ける。中に居たのはウッドマンナイト。絵で分かっていたけど、騎士様だね。

「アンアン」

「チャタが戦うのか?」

「アン」

「気をつけるんだぞ」

「アン」

 ステータスは圧倒的にチャタが上だ。負けることはないと思うけど、怪我はしてほしくない。


 トテトテと歩き、前傾姿勢になる。尻尾を上で巻いているからお尻の穴が丸見えですよ、チャタさん。


 地面を蹴って2歩で空中へと上る。立体起動だ。それいいよね。俺も欲しいけど、取得可能リストの中にはないんだよ。


 スピードに乗ったチャタは、空中で何度か方向を変えてウッドマンナイトに飛びかかった。

 ウッドマンナイトが盾でチャタの攻撃を防いだが、その盾には深い爪痕ができた。金属製の盾にあれほどの傷を残したのは、被堅執鋭の効果だろう。


 チャタはなおも立体起動で空中を駆ける。ウッドマンナイトの剣はチャタに届かず、盾で攻撃を防ぐのがやっとだ。

 そして、その盾も4回目の攻撃を防いだところで砕かれて、ウッドマンナイトは剣だけになった。


「アオーンッ」

 咆哮ではない。気合を入れたようで、チャタの動きがさらに速くなって、俺でも目で追うのが難しい。

 そんな速さのチャタの攻撃を、ウッドマンナイトが防げるわけがない。

 全身を切り刻まれたウッドマンナイトは、何もできずにダンジョンに吸収された。


「よくやったぞ、チャタ」

 レベルアップの声がしない。チャタが倒したから経験値は微々たるものしか入らないが、チャタの強さが知れたことは良かったと思う。

「お前、俺より強いかもな」

「アウン」

 そんなことないって? そんなことあるよ、マジで。


 ウッドマンナイトは青色のアイテムボールを2個残した。

 なかなか黒が出ない。まあ、青色でも数百万円レベルのアイテムがもらえるからいいんだけど。

 アイテムボールを2個を極アイテムボックスに放り込んで、次のエリアに向かう。


『ユニークアイテム・妖魔喰が進化しました』

 おっと、こいつが来たか。




 name 世渡丈二

 race 人間

 lv 166


 class 【鬼神】 ★★★★★


 HP 620+50+100+300

 MP 720


 STR 105+10+100+100+50

 VIT 105+10+50+100+100

 AGI 105+10+100+100

 DEX 95+100

 INT 105

 MIN 95


 ST.P 375

 SK.P 68


 title 【ダンジョン探索者】 ★★★★★


 title 【先駆者】 ★★★★★


 unique skill 【酒呑童子】 ★★★★★


 unique skill 【極アイテムボックス】 ★★★★★


 unique skill 【滅天使】 ★★★★★


 skill 【身体強化】 ★★


 skill 【頑強】 ★★★


 skill 【質実剛健】 ★★★★


 skill 【鑑定眼】 ★★★★


 skill 【獄炎魔法】 ★


 skill 【剣聖】 ★

 戦闘勘を備え、どんな剣でも手足のように扱う。STR、VIT、AGI、DEX値を+100する。


 skill 【転移】 ★★★★

 行ったことがある場所、または見える範囲に転移できる。


 unique item 【妖魔喰】 ★★★

 触れたモンスターの生命力を喰らう。モンスターを倒せば倒すほど進化する。STR値を+50する。





 name 世渡チャタ

 race 柴犬/世渡丈二の眷属

 lv 166


 class 【獣神】 ★★★★★


 HP 608+300

 MP 608


 STR 102+200

 VIT 102+50

 AGI 102+20+150+300

 DEX 102+150

 INT 92

 MIN 92


 ST.P 320

 SK.P 98


 skill 【咆哮】 ★★★★★


 skill 【立体機動】 ★★★


 skill 【被堅執鋭】 ★

 鋭い攻撃を行う時、STR値を+200ポイント、AGI値を+300ポイントする。


 skill 【回避】 ★★


 skill 【疾風迅雷】 ★★★★


 unique item 【魔装アーマー】 ★★★



 

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