第43話 初体験アーユルヴェーダ

 その後、コロンボ国立博物館から10分もかからない場所にある、「エクセレンディブ アーユルヴェーダ キュア & セラピー」と言う場所へ向かった。

 今日で最後だし、疲れも取って帰国したいという思いと、スリランカのアーユルヴェーダを体験してみたいなと思ったから、伺ってみた。ここは青年海外協力隊としてスリランカへ赴任していた日本人男性が経営しているサロンである。だからもちろん日本語が通じる。

 リゾートホテルを思わせる玄関をくぐると、日本語が堪能なスリランカ人スタッフが出迎えてくれる。

まずはロビーでメニューを選ぶ。日本語表記だから何をするのか分かり易い。

オーダーしたあとは、スタッフさんに連れられてドクターの問診に向かう。アーユルヴェーダはドクターの問診の後、オイルなどを決めて行われる。ドクターはもちろん英語で対応だが、そんなに難しい単語は使用しない。

 血圧を測定した後は、日ごろから何に不都合が生じているか、どんな時にストレスがあるか、持病はあるか、などの問診が始まる。

 問診後、トイレを済ませていざ施術部屋へ。ここで紙パンツなどを履き準備。

医師が調合したオイルでまずボディトリートメントからスタート。

 首から下のマッサージから始まる。もちろん女性スタッフさん。

 ともかくくすぐったい。でもすごく丁寧。この国だから正直、結構適当にされるかなと思ったが、30過ぎても終わらない。山登りをして足が痛いんだ、筋肉痛かもと話していたからか、足を中心にマッサージをしてくれた。

 次に行われたのはショルダートリートメント。私は頭ではなくてショルダーの方を選択。これも20分以上じっくりしてくれた。日本人がオーナーだといろいろ躾もされているのだろうか。セラピストさんも非常に感じよかった。

 最後に、ハーブ・スチームバスと言うものに入った。首だけ出したブースに入り、オイルの浸透効果を狙うエステだ。

マッサージは気持ちよかったのだが、このスチームバスは虐待並みに辛かった。 十五分に渡り、棺桶サイズのブースの中に閉じ込められるわけだが、ブースの中がスチームサウナになっていて、ともかく熱い。ブースから顔だけは出ているから、首から上は涼しいが、中は蒸し焼き状態。熱くて仕方がなかった。

 予定より5分遅れてスタッフが現れ、ブースを開けてくれた。すごく辛かったよー、と伝えたら、他のお客様は毎回、気持ちよかった、と言うよ、と彼女は不思議そうな表情を浮かべた。

 コースがすべて終わったらシャワールームに案内され、体にまとわりついているオイルを洗い流し、終了した。

 その後、中庭を覗ながら、ドクダミ茶のような体によさそうなお茶をふるまわれた。美味しいのか不味いのかジャッジに困る味で、困惑していたら、日本語ができる男性スタッフが診断書を持ってきてくれた。中にはトリドーシャ(体質診断)の%や、今日使ったオイル名まで記されていた。またドーシャ別での食事で気をつける食材なども書いてあり、親切に私が食べた方が良い食材が日本語で記載されていた。

 ただ60分コースで予約したものの、非常に独自のリズムを大事にする施設なのか、これも国民性なのか分からないが、実際はトータルで1時間40分かかった。この施設では自分へのご褒美を含めて1万円を投資した。日本人経営者のため日本円が使用できるのは良かった。

 

 アーユルヴェーダでリフレッシュした後は、最後の晩餐会場へ向かう。到着したのは、ダッチホスピタルの中にある、「ミニストリーオブクラブ」と言う店。

 スリランカ人はあまり蟹を食べる文化がなくて、ほとんどをシンガポールに輸出していたという。口にするようになったのは最近らしい。せっかくなので、シーフードを食べて帰りたいなと思い、この店に足を運んだ。

 さすが高級店である。ダッチホスピタル内だけあって、観光客と駐在員家族ばかり。14時30分過ぎくらいだったが大繁盛。少し待たされた。

席に案内され、まずオーダーしたのは、ジンジャー風味のアイスティーサイダー。こちらの店員さんおすすめのドリンクだ。一押しドリンクだけあって、目が覚めるくらい美味しく、一気に半分飲み干す。

スタッフにエビと蟹が食べたいと言うことと予算を伝え、お任せにした。日本人も良く訪れる店なのだろう。英語と日本語をミックスして対応してくれた。

混んでいる割には料理の登場も早く、ものの数分で、エビのガーリック炒めとガーリックトーストが登場した。大振りのエビが口の中でぷりぷりと激しく尻を振る。食べごたえあり。素晴らしい味。日本人はみんなこれをオーダーするんだよ、と言いながら持ってきた一皿だけある。

 真打はガーリック炒めが食べ終わったのを見計らって登場した。スリランカで採れるのはハサミ蟹。真打はハサミ蟹のバターガーリックソース炒めだった。

 1kg近くあるハサミ蟹と戦闘開始。ハサミ蟹をはさみで切りながら食す。

ひたすら格闘である。欧米人が好む味付けが施されており、本当にうまいのだが、日本みたいに食べやすくカットしてあるわけじゃないため、食べにくい。何よりもバターガーリックソースが手を滑らせて、時間ばかりが過ぎていく。

 手や口周りがべたべたになり、15時45分、ようやく勝利を収める。

すごく腹いっぱいになり、支払いをする意思をその辺に立っていたスタッフに伝える。請求書を見て目が飛び出る。税・サービス料込みで8400ルピー。サービス料を取るのなら、もっと食べやすくカットするべきではないか。

 これからも安宿に泊まって旨いもんを食べるという旅行は続けていくだろうけど、アーユルヴェーダと最後の晩餐には散財し過ぎたと、軽く反省した。

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