第17話
翌日、学校が終わると俺は花園さんとファミレスに直行した。
学校に近いこともあってか店の中はうちの学校の生徒で溢れていた。
「結構人いるな・・・」
「そうですね・・・テスト前なので当たり前といえば当たり前ですが。」
そんな中、俺たちは案内されたテーブル席に座り、適当に注文をした後、勉強を始めた。
「突然ですが大和川君、この問題がわからないのですが・・・」
花園さんが質問したのは数Bの数列の問題だった。
確かにこの類の階差数列の問題はある程度パターンを覚えておかないと解けない仕様になっている。
「この数列は分母を揃えて書き出してみると規則性が見えてくると思うから・・・・あ。そうそうそんな感じ!」
「なるほど、確かにこれで初項と末項以外全部消せちゃいますね!!さすがです大和川君!!」
「いや、別に・・・褒められるほどではないと思うけどな・・・」
そう言いつつも天舞音以外に勉強を教えてここまで感謝されたのは初めてだったので少し照れてしまった。
そんな感じで勉強会は進んでいった。
注文したアイスが来た時なんかは少し雑談も交えてしまったが総合するとかなり有意義な時間を過ごせたと思う。
そして、俺はテスト範囲になっている青茶の問題をすべて解き終えたところで一息ついた。
「・・・大和川君青茶やるんですね・・・・」
花園さんは目を見開いていた。
「どうせテスト問題の半分ぐらいは青茶の問題のパクリだからね・・・」
「それでも青茶をやるのはすごいですよ!!さすがS特ってところでしょうか?」
「別に青茶なんてそんなに黄茶と変わらないからそこまですごくないでしょ・・・」
「いやいやそんなことないですよ!!私なんかEXERCISEはおろか普通の練習問題ですら歯が立たないというのに・・・」
それはおそらく基礎がしっかりしていないからだと思うのだが・・・
「とにかく、今日やったところは帰ったらもう一度復習した方が良いよ。そうしないとすぐに忘れるから。」
「わかりました。あ、もう6時ですね!では今日の勉強会はこれで終わりということで
いつの間にか空は夕焼けに染まっていた。
「そうだな、今日はありがとう。おかげで良い感じに勉強に集中できたし。」
「こちらこそ、今日は本当にありがとうございました。またよろしくお願いします!!」
「また?!」
「はい。結構楽しかったので!またできれば嬉しいのですが・・・・」
一人で勉強するタイプだがVtuberとイラストレーターという関係なら結局そうなって当然だろう。
「わかった。じゃあ次いつ空いてるか連絡しておいてくれないか?」
「わかりました。」
結局家に帰ったのは6時30分を少し過ぎた頃だった。
玄関のドアを開けると、その前に天舞音が立っていた。
しかも機嫌の悪そうな顔に仁王立ちのセットである。
いやしかし、天舞音の機嫌を損ねるような行為を俺はしただろうか?
いやしていない。
していないはずである・・・・が、本当にそうかと思うと少々不安になってきた。
しかし、どんだけ頭を絞っても答えになりそうなものは見つからない。
もう仕方がないので本人に聞いてみることにした。
「あ、天舞音どうかしたのか・・・・?」
「お兄ちゃんこれ見て!!!」
そう言って天舞音は俺に向かってスマホを突き出した。
「これ、何?」
スマホの画面にはある画像が映し出されていた。
よく見るとそこにはファミレスで仲良さそうに勉強をする二人の男女の姿が・・・
うん、俺と花園先生だ・・・・・
週刊誌にスクープを載せられる有名人の気持ちが少しわかったような気がした瞬間だった。
「これ、お兄ちゃんと花園先生だよね?・・・昨日言ったよねお兄ちゃん、お兄ちゃんと花園先生は付き合ってないって。これはどういうことなんだろうね?だいぶ仲良さげじゃない?」
どうしてこういう時に限って限定的な証拠ばかり他人に流出するのだろうか・・・・
辛いな・・・
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