第3話

「ねえお兄ちゃん!!次のゲーム配信で何やったら良いかな?」




「前はエペやってたからな、今度はマリカとかどうだ?」




俺は昼食を食べている間に天舞音の相談に乗っていた。




「うーんマリカかーお兄ちゃんはやったことあるの?」




「配信ではやったことはないな・・・まあ遊びでならあるが・・・」




「わかった、次回のゲーム配信はマリカにする!!じゃあお兄ちゃん、今日の放課後二人で練習しよ!!」


天舞音はニコッと笑ってこっちを見た。




もちろん俺は了承した。


これでも妹のVtuberとしての仕事のためだと思えばどんな頼みでも引き受ける所存だ。




昼休みの後も授業が続いたがあのエナジードリンクのおかげか集中して授業を受けることができた。


これからも眠たい時はこれに頼ろうかと考えたくらいだ。




授業が終わると俺はすぐに帰宅したがその時には天舞音はリビングで部屋着に着替えてマリカの準備をしていた。




「お兄ちゃん遅かったねえ、もう準備できたから早く着替えてきて!」


そう言って天舞音はマリカのソフトを開いた。




「わかったよ、じゃあプロコンの接続頼んだぞ。」


俺は急いで制服から部屋着に着替え、天舞音のいるリビングに向かった。




「よーし、じゃあ始めるか!」




「うん!!」




最初のレース、久しぶりのマリカに俺は自分の実力の衰えを心配したがなんだかんだ腕は生きていた。


これでもオンライン対戦でレート10000を超えただけはあると自画自賛した。


しかし、驚くのは天舞音の実力である。


おそらく実力的にはもうレート20000ぐらいなんじゃないか?とおもわせるような走りである。


アイテムを使うタイミング、ドリフト、ジャンプアクションまで完璧だ。


他の追随を許さない走りを見せつけられた。




「あ、天舞音、マリカってどのくらいの頻度でやってるんだ?」




「うーん、友達と1年ぐらい前にやったのが最後かな・・・」




これには俺も驚いた。


さすがにこの走りはゲームセンスの塊である天舞音からしたら普段練習さえしていれば可能だとは思っていたが、まさか練習すらしていないだなんて。




才能って憎いな。




結局10レース程やったが天舞音はずっと1位で俺はだいたい2位か3位だった。


これでも短期間で自分の実力を上げてきたつもりだがそれ以上に天舞音の成長スピードが速くなっていく・・・


まるでVtuberとしての姫乃琴音と影人闇のようだ。




マリカが終わると天舞音は俺にお礼を言って、せこせこと自分の部屋に戻って行ってしまった。




そして夕食を食べた後、ついに妹の配信が始まる。


俺は今日配信する予定はなかったので自分の部屋で漫画を読んでいた。




すると、急に俺のスマホに天舞音からメッセージが届く。




『お兄ちゃん、一緒にマリカしよ!!』

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