第3話 ダイヤの原石とアンハッピーなクローバー

ここは茨城県より遥か西にある四国の徳島県庁。その県長である女性が噂を聞いたのである。


?「そういえば、最近茨城県の知事が変わったみたいですね。」


秘書「はい、しかも年齢が20代ほどの若造ということです。」


?「へ~そんな若い人が県のトップに、これは「デスサイズゲーム」の歴史が大きく変わる瞬間ですね。いずれ会ってみたいですね~」


そのころ、ギャンブル課の席では一城と恵の二人が「ブラックジャック」をしていた。


恵「合計20です。{手札:❤8、♣3、♣Q}」


一城「俺も20だ。{手札:♠J、❤10}」


恵「引き分けですね。一條知事強いですね~」


一城「よく言うよ、3連続ブラックジャック出していたくせに。」


恵「えへへ~照れますね~」


一城「(こいつ、かわいい顔してとんでもない強運の持ち主だよな。)」


赤奈「失礼します。」


一城「赤奈さん。仕事かい?」


赤奈「そろそろギャンブル課のほかのメンバーを集めてはいかがでしょうか?」


一城「それなら赤奈さんが参加すればいいのでは?」


赤奈「いえ、私たち秘書は参加できないルールになっております。私たちはあくまで知事の秘書に過ぎないのですから。」


一城「ふーん、そうなんだ。詳しいことはよくわからないけど。でもそうだな。そろそろ新しい人を見つけないとな。」


恵「私もお手伝いします!」


一城「あっ、でもまだ仕事が残っていたんだよな。どうしよう・・・・・・」


恵「では、私と黒瀬さんの2人でやります。一條知事は仕事を済ませてきてください!」


一城「分かった、後は任せた!」


恵「では行きましょう!」


赤奈「あ、ちょっと・・・・・・」


恵に引っ張られ赤奈は次のメンバーを探すことに。


赤奈「さて、どんな人を探せばよろしいですかね。」


恵「とにかくいろいろな人を手たたり次第聞いてみましょう!」


赤奈「手当たり次第では?それに前回やって引っかかったのは愛原様だけでしたが。」


恵「人を魚みたいに言うな!」


赤奈「失礼致しました。では私はこちらで声掛けを。」


赤奈はそう言うと奥の人通りの多いところに移動した。


恵「・・・・・・私、黒瀬秘書苦手かも。」


恵は必死に声掛けを行ったが、誰一人了承を得ることができなかった。


恵「どうしよう・・・・・・誰も捕まらない。でも、諦めないぞ!」


通行人「(あの子一人で何喋っているんだろう?)」


そのとき、空から雫が一粒落ちてきた。


恵「あ、ヤバ!雨降ってきた!」


恵は近くのコンビニでビニール傘を購入した。


恵「ラッキー♪近くにコンビニがあって。これって経費で落ちますかね?」


恵がビニール傘をくるくる回しながら県庁に帰ろうとしたら。


?「すいません、傘の中に入れてもらえないでしょうか。」


声をかけてきたのはロングヘアの似合う青髪の女性だった。彼女の着ていたリクルートスーツが雨でびしょ濡れになっていた。


恵「え、あぁどうぞ。」


女性は恵の傘の中に入った。


?「助かりました、ありがとうございます。」


恵 いえ、お役に立てて光栄です。


?「あの、見知らぬあなたにこんなことを言うのもあれですが、行ってほしいところがありまして。」


恵「はい、いいですよ。それでどこにいけば?」


?「茨城県庁までお願いできないでしょうか。」


恵「・・・・・・それなら構いませんよ。私も今から向かうので一緒に行きましょう!」


葵「本当ですか、ありがとうございます。 私「菱川葵(ひしかわ あおい)」といいます。」


恵「「愛原恵」です。では早速案内いたします。」


恵は葵と共に県庁に戻っていった。ギャンブル席では。


恵「ただいま戻りました!知事、タオルお借りできないでしょうか?」


?「え?」


そこにいたのは茶髪の美女であった。彼女も突然の夕立にやられたのかびしょ濡れの姿でタオルを首にかけていた。


恵「だ、誰!?」


?「あなたこそ、学生は家に帰りなさいよ。」


恵「ムキ~!私はここの職員です!」


?・葵「え!?」


恵「菱川さんも驚かないでください!」


一城「愛原、帰ったか。」


恵「知事、これはどういうことですか!?」


葵「この方が、知事?」


一城「え、1人は聞いていたけどもう一人は誰?」


葵「初めまして、一條一城新知事ですね。私、菱川葵と申します。ギャンブル課に空きがあるとのことで入社しにまいりました。」


一城「あぁ、そうなんだ。」


恵「え!?そうなんですね。」


一城「そして、そこの茶髪のお嬢さんは・・・・・・」


綾乃「元OLの「三葉 綾乃(みつば あやの)」です。半年前に会社が倒産してしまいまして・・・・・・今は無職です。」


一城「それはお気の毒に・・・・・・ 三葉さんは赤奈さんに連れられてここに来たんだよね。」


綾乃「はい、急に雨が降ってきてずぶ濡れになったところに黒瀬さんに助けていただきここまで連れてきてくれました。でもギャンブル課ということは全然聞いていません。」


恵「ところで三葉さんの年齢は。」


綾乃「19です。今年で20歳になりますけど。」


恵「私より一つ年上!!」


綾乃「18でこの課に!?なんて根性。」


一城「はいはい、ちょっといいかな?菱川さんが入社したいのは分かった。でも、さすがに誰でもいいわけにはいかないからね。ちょっとしたテストをしてもらう。そうだな、今日やった「ブラックジャック」をやってもらおうかな。ルール分かる?」


葵「はい、21に近づけばいいゲームですよね。」


一城「対戦相手は、三葉さんやってもらっていいかな?」


綾乃「えっ、でも・・・・・・」


一城「もしかしてルール知らない?」


綾乃「いえ、知っていますがいいのですか、私で?」


一城「もちろん、君の実力も知りたいし。」


綾乃「・・・・・・なら。」


葵と三葉はギャンブル用のテーブルに向かい合って椅子に座った。


一城「じゃあ僭越ながらディーラーは俺がやる。勝負は5番勝負。」


一城はトランプを葵、三葉に配った。


葵は♦5・❤8,三葉は♣K・❤2だった。


一城「菱川さん、スタンド{この2枚で勝負すること}する?それともヒット{もう1枚追加する}?」


葵「ヒットで。」


一城は葵にカードを1枚渡した。カードは♣6だった。


葵「スタンドで。」


一城「三葉さんは?」


綾乃「私もヒットで。」


綾乃にカードを1つ渡した。


綾乃「・・・・・・スタンドで。」


一城「二人ともカードをオープン!」


葵「私は、合計で19です。{手札:♦5・❤8・♣6}」


綾乃「22です。{手札:♣K・❤2・♠10}


一城「三葉さん21オーバーでバーストしたため1回戦目は菱川さんの勝利。」


2回戦目。葵は2枚で合計18。綾乃は22でまたバーストした。


一城「3回戦目行くぞ。」


一城はトランプを葵、三葉に配った。


葵は♥A・♠9だった。


一城「菱川さん、スタンドする?それともヒット?」


葵「スタンドで。」


一城「三葉さんは?」


綾乃「私は・・・・・・ヒットで。」


綾乃にカードを1つ渡した。


綾乃「・・・・・・スタンドで。」


一城「二人ともカードをオープン!」


葵「20です{手札:♥A・♠9}」


一城「三葉さんは?」


綾乃「・・・・・・22です。{手札:♦8・♦4・❤Q}」


一城「・・・・・・勝者、菱川葵!」


一城はトランプを片付けた。


一城「合格だ。君の実力なら間違いないな。」


葵「ありがとうございます。」


綾乃「では、私はこれで・・・・・・」


綾乃は部屋から出ようとした。


一城「三葉さん待って!」


綾乃「これで分かりましたでしょ、私、昔から運ごとにはめっきり弱いんです。いっつも負けてそれ以来ギャンブルは嫌いなんです。なので私は不合格ってことです。」


一城「何言っているんだ?君も合格だよ。」


恵「え!?」


葵「どういう?」


綾乃「一條知事、話聞いていなかったのですか?私は昔から不運で入ったら皆さんの足を引っ張るだけです!」


一城「俺はそうは思わないぞ。だって、バーストした数字全部22だったじゃないか。これって偶然か?ここまで数字が合うことなんてめったに起きない。だから君も合格ってことさ。」


綾乃「・・・・・・本当、そんなところを褒めてくるなんて変わっていますね。でも、愛原さんと菱川さんはどういいますかね。」


葵「私は賛成です。最初はえ?って思いましたけど理由を聞いて納得しました。そんな偶然なかなか起きませんからね。」


恵「私も賛成です!」


一城「これで3対1だ。多数決ではこっちが上だぞ。」


綾乃「・・・・・・・・・・・・はぁ仕方ないですね。分かりました。私でよければこれからよろしくお願いします。」


こうしてギャンブル課に菱川葵、三葉綾乃が新たに入社することが決まった。残りメンバーはあと一人だ。


第3話(完)

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