運命のツインレイシリーズPart5『美男《イケメン》アイドルの裏の顔編』

星の‪りの

『美男（イケメン）アイドルの裏の顔編』

　まえおき

「マスコミの捏造とタレントの関係性」

　最近はコロナ禍（か）のせいか、外に出る機会が減ったせいか、週刊誌でも芸能人の熱愛スキャンダル記事などをあまり見かけなくなりましたが、10年ほど前はあることないこと、本当に酷（ひど）い言いがかりのような捏造記事（ねつぞうきじ）が多かった印象があります。

　あるお粗末な週刊誌を例に取ると、本人（当時23歳）のアラフォー(40歳前後)の実の母親の顔を別人に変えて20代の恋人のように仕立て、無理が通れば──のような記事を見たこともありました。

　どう見ても女性の姿勢や体型、肌の張り、持ち物（お母さまの手作り犬のキーホルダーでしたのですぐ分かりました）などが中年の方の特徴で、首と体の付き方も拡大してよく調べると不自然な角度でお粗末（そまつ）なPC処理がされていました。

　またガセの決定打（けっていだ）は、まずその日は、ご本人が舞台リハーサル中のアクシデントで肋骨（ろっこつ）を骨折してしまった日で、とても優雅（ゆうが）にデートしてる場合ではなかった上、大先輩が主演の舞台初日だったこともあり、記事がすべて捏造（ねつぞう）されたものだとズブの素人にもバレていましたが（Twitterで記事のガセを見抜いて呟いた一般人の方にすら、週刊誌側が暴言の反論をしていました）、またその週刊誌はその後も平然（へいぜん）と懲（こ）りずに、知名度の低い若いモデルを慌てて見つけ、母親の顔に上書きし、当初の設定の「美容師」から「ネイルデコアーティスト」へ、その後は「美容関係者」にして、最後は「モデル」へとよくもまあこれだけ転々と相手の設定を変えて、辻褄（つじつま）がどれ1つとして合わないのに、そのタレントを陥（おとしい）れるための矛盾記事を出すという、正に読者はバカだから全て信じるだろうという、人間を見下しているような記事でした。

　とうとうご本人が数ヶ月後に、当時肋骨を骨折していたことや(接骨院の診断書もあり)、痛み止めを何度も打ちながら、痛みを隠し休まず舞台に出ていたこと(控え室では周りに気を使わせるため、地下駐車場の自分の車の中で震（ふる）えながら痛みを堪（こら）えていたと聞きました)、また母親が身の回りの世話をしに自宅マンションに通ってくれていたことを雑誌インタビューで話しておりました。

　これ程のプロ根性で痛みをこらえながら仕事に穴を開けなかった彼に対して、週刊誌は、未だにガセを撤回せず嘘の塗（ぬ）り固めをしながら平然と繕っており、人間として許せないことですね。

　週刊誌とタレントの関係は、たとえガセを書かれても知名度が上がるから無闇（むやみ）に切り離さない、また、本人がガセを指摘すると更にガセの倍返しをされるなどとという噂も聞きますが、どうでしょう？

　嘘の噂を広められて嬉しい人間などいるでしょうか？

　週刊誌など私たちにはまったく無縁（むえん）の世界で興味もありませんでしたが、もし仕事の場が芸能関係であったら、会ってもいないやってもいないことで勝手な記事を書かれたら、と、主人公、海原裕星（かいばらゆうせい）の立場と、恋人で一般人の美羽（みう）の気持ちになって、人気タレントであるが故（ゆえ）のリスクや嫉妬（しっと）、人気を利用し捏造して売り出すゴシップ紙などの裏側について見聞きしたものをテーマにしました。