ロシアにて 第三部~シベリアで、逢いましょう~

ろわぬ

第一話 「церемония(儀式)」

「(くっ...!)」


"ボォォォォオオオオオオ―――――"


「.... Что случилось,


 Эймой――――!


 "Ты все еще не можешь


 себе представить...!

(....どうした、エイモイ――――っ!


 お前には、まだ、


 "Воображение"

(ヴァーヴラジーニ=イメージ)


 する事ができないのか...っ!)」


「(Воображение

(ヴァーヴラジーニ)....)」


"シュウウウウウウウゥゥゥゥ――――...."


「くっ....!」


「Эймой! ?


 ―――Что случилось! ?

(エイモイ!? 


 ――――どうしたんだッ!?)」


「(い、イメージ....!)」


自分の座っている椅子の


後ろに立っているツベフォフの言葉に、


隆和は机の上に置かれた


"ледяная скульптура

(レディアナ・スカルプトゥラ


 =氷の彫像[こおりのちょうぞう])"


と呼ばれる、四角いクリアケースに入れられた


卵型のラグビーボール大の


透明な物質に手を添える....


「(....力が...!)」


"ブシュウウウウ――――ッ


「・・・!」


"ブシュウウウウウ.....


「(・・・・!)」


目の前に置かれたおそらく、


ガラスか何かでできた物質に両手を添えていると、


その物質の両脇からホログラムの様な


霧が勢いよく吹き出し、その霧が


隆和の手を覆い尽くす....


「Аймой――――

(エイモイ――――ッ)」


「г-н Цвефов...

(ツベフォフ氏...っ)」


"ブシュウウウウウウウ.....


「Правильно...


 Сейчас вам нужно не


 "думать", а


 "чувствовать"―――....

(そうだ... 今、お前に必要なのは


 "考える"


 事では無く


 "感じる"


 事だ・・・・!)」


「Чувствовать...

(感じる...)」


"ブシュウウウウウウウ....ッ


「(・・・・)」


ツベフォフの言葉に、座っている


机の周りを見渡すと、そこには同じ様に


"氷の彫像"と呼ばれる


ラグビーボールのような物体に両手を添え、


真剣な表情でその像に向かって


刺す様な目つきを浮かべている


数名のロシア人の男女の姿が見える....


「Ку... Куку...!

(く...っ ぬくっ...!)」


「(・・・・!)」


"ブシュウウウウウウウウウウ――――!


「Вау!

(う、うおおっ!!)」


「!」


"バタッ"


「―――Андрей!?

(――――アンドレイ!?)」


「Ух!... Вау...!

(う、!... うわはっ....!)」


「(・・・・!)」


「Хех, ты в порядке!?

(へ、平気か!?)」


「Что случилось,


 "Аймои"―――?

(どうした、"エイモイ"よ――――?)」


「・・・!」


「Андрей! Держись!

(アンドレイ! しっかり!)」


「...


 Хех, я в порядке...

(・・・


 へ、平気だ・・・)」


「Аймой――――!

(エイモイ――――!)」


「Господин Цвефов...!

(つ、ツベフォフ氏...!)」


「Ууу....

(う、うう....)」


少し先の机に座りながら、氷の彫像に手を当てていた


若い、短髪のロシア人の男を見ていると


その男が手を当てている像に


何かあったのか、男は勢いよく


自分の座っていた椅子から転げ落ちる!


「Андрей! Андрей!?

(アンドレイ! アンドレイっ!?)」


「...все в порядке...!

(・・・だ、大丈夫...!)」


「Аймой....

(エイモイ――――)」


「"!"」


「Я говорил тебе....

(言っただろう....)」


「Ты сказал это?

(い、言った?)」


派手に倒れ込んだ男に手を添えている


茶色い髪をした女に目を向けると、


目の前の日本人の様子に不満を感じているのか、


この極東の地、極寒のモフソゴルロフの


地下施設にある


Абсолютная-Ø

(アブソリューチナヤ・ゼロ)


の最高責任者であるアルフォンソ・ツベフォフが


眉を潜めながら、像に両手を添えている


隆和を見下ろす....!


「Андрей!? Андрей!?

(アンドレイ!? アンドレイ!?)」


「Хех, все в порядке...!


 Все в порядке...!

(へ、平気だ...! だ、大丈夫...!)」


「Разве я не говорил...


 Эймой――――

(言っただろう... エイモイ――――)」


「... Что вы


 подразумеваете под


 "сказал"?

(...."言った"とは?)」


「Ах, Андрей! Андрей!?

(あ、アンドレイ! アンドレイ!?)」


「Все в порядке,


 все в порядке...!

(だ、大丈夫、平気だ.....っ!)」


「Большая "ошибка"


 относиться к этому


 ритуалу "Корими" с


 нерешительным


 отношением――――――…

(この、"氷視(こおりみ)"の儀式に、


 中途半端な心構えで臨むのは大きな


 "間違い"


 だと・・・・)」


「Ах, Андрей!?

(あ、アンドレイ!?)」


「Хех, я в порядке――――….


 Да…!

(へ、平気―――....だ...っ!)」


「ледяное зрение――――….

(氷視(こおりみ)――――....)」


「Ах, Андрей!?


 ―――Андрей! ?

(あ、アンドレイ!? 


 ――――アンドレイっ!?)」


「Хех, я в порядке――――

(へ、平気――――


 だ、大丈夫だ....っ)」


「(何かの"試験"の様な物らしいが....)」


「Андрей!? ―――Ах,


 Андрей!?

(アンドレイッ!? 


 あ、アンドレイッ!?)」


「――――Вы сказали, что с


 вами все в порядке!

(――――大丈夫だっつってんだろッ!)」


「Андрей...!

(アンドレイ・・・・!)」


「(俺は、何をやってるんだ――――...)」


まるで、壊れたラジオの様に同じ言葉を繰り返す


二人の男女を見ながら


「――――Андрей! Андрей!

(――――アンドレイ! アンドレイ!)」


「――――Вы уверены, что с


 вами все в порядке!?


 Все в порядке! ? "Все


 в порядке!" ?

(――――平気だっつってんだろッ!?


 大丈夫っ!? 大丈夫だって!?)」


「"Ледяное зрение"――――――

("氷視"―――――)」


「―――――― Андрей!?


Ой...! "Андрей!" ?

(―――――アンドレイッ!?


 あ、あ...! アンドレイっ!?)」


「Все в порядке!


 ――――Все в порядке!?

(大丈夫! ――――大丈夫だからっ!?)」


「(・・・・)」


隆和は、この


Абсолютная-Ø

(アブソリューチナヤ・ゼロ)


内での作業に大きなあせりと、


疑惑の様な物を感じていた――――....


「Андр

(あ、アンド―――


「―――Ты настойчив!

(――――"しつこい"んだよっ!)」


「(アンドレイ....)」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る